2020 釣乃記
第壱話  曲がりくねった解禁
さて、次回はどんな釣りが待ち受けているのか?
結局こんな上流にまで来てしまった。本流でも支流の下流域でも、この冬の雪のなさや気温の高さからすれば、イケそうな気がしていたのだ。
ところが最初のポイントが、あろうことか河原がごっそり削り取られていた。この支流が数年に一度やらかされるアレだ。
そこから支流を上流に向かうにつれ、そこここに釣り師と見受けられる車が停まっていた。
二番目三番目の目当ての場所にも車が。こうなると入るところがない。で、結局こんな上流まで来てしまった。
「んっ!?」ライズした! いや、確かに気温は高い。そろそろ十度を超えるんじゃないだろうか。ただハッチは見られない。でもライズした。僕は#18のCDC半沈みを結んでキャストした。もっそっと出た。合わす。空振り。水面での捕食はなんぼなんでもまだヤマメにとっては不慣れの時期なのだろう。
不慣れと言えば、僕だって当てはまる。川を歩くのってこんなにむつかしかったっけ? やたらよろける。コケそうになる。おのずとキャスティングも乱れる。そんな投げ方で捕食不慣れなヤマメを釣るだなんて、まあはたから見たらひどい醜態だろう。
この道の曲がった先に、きっと好ポイントの川が・・・(^^;)
放流魚ではない魚体。色も濃い。あとはサイズ。
今年初渓流もぐもぐタイムは、限定どんぎつねさんとフリーズドライ雑炊(*^^*)
渓流解禁らしくない天候は確か去年もだった。それにしても今年はさらにらしくない。
寒暖差が体調に影響しているのも実感はある。渓流解禁直前まではメバルを釣りに行っているから釣りの新鮮味はない。
そんなこんなが合わさって違和感を感じているのだろうか?
昼ご飯を食べ終わって片づけも終え、さてどこへ行こうか。
あ、そういうこと? 僕はこの違和感の正体が、この日の釣りを楽しく感じていないことなのだと気が付いた。
いったん川から上がった。上がるまでのちょっとの斜面でも汗をかいた。Tシャツが濡れる感触がわかるほどの汗をかいたのはこの冬初めてじゃないだろうか? 足も少しがくがくする。こりゃあ相当からだがなまってるな。
今はどの有望ポイントにも釣り人が入っていそうだ。僕は休憩を兼ねて昼ご飯にすることにした。途中W氏らしき車が停まっていた。人影が見えないので川へ降りているのか。恒例のW氏との渓流解禁ミーティングは次回以降にお預けだ。
昼ご飯を食べながら、なんだか違和感がまとわりついてくるのを感じた。バテたのかな〜っと思ったが、それだけではない気がした。
あー、またやりやがったな〜(>▽<)
チビヤマメ様 連発。もうやめときます(^^;)
この陽気なら咲いてて当然、という感想(^^;)
体力や身体能力の衰え、日々の忙しさ、世間を騒がす出来事の数々。渓流解禁で釣りに行けることに手放しでわくわくできなくなってしまったのだろうか。
日々の生活には平坦で真っ直ぐなだけでなく、浮き沈みや曲がり道がある。日常を忘れるために釣りに行くと言う考えもあるが、僕は日常の先に釣りを楽しむ、日常が成立しての釣り、という考え方がしっくりくる。
クンっとロッドが曲がった。どうやらちょっと良さげなヤマメが掛かったようだ。
プッという感触。ああ、この期におよんでまた合わせ切れしてしまった。そんなに大きい魚じゃない。ティペットが劣化していたかも。
チビヤマメがまたライズした。今度はそっと、そお〜っと。フライを流すとぴしゃっと出た。大袈裟に軽く合わす。小さな今年の初ヤマメが釣れた。
次のポイントへ。歩く度に滑ってよろけるが、踏ん張って立て直す。それにかなり力を使っているのか、体に熱がこもってきた。あ、暑い。
この川の曲がった先に〜・・・。