其ノ四百九十二  春が追い抜いていく島
ゴンっ!ぐぐーっ! ブチッ! あ? 切れた? 僕はメバルが食いついたのとティペットが岩礁に引っ掛かったのが同時だったと悟った。

満潮の少し手前くらいに港に着いた。ひょっとしたら今が一番の時合なのでは? と直感的に思った。
「ちっちゃいメバルばっかりじゃ〜」と、近くで釣り座を構えていた釣り師がぼやいた。僕が挨拶すると、その釣り師は笑顔を返してきた。
二回ほど曇りを挟んで、また晴れの島釣行。
釣り始めの時はそれなりに寒かったから、ジャケットの下にダウンベストとフリースを着込んで始めた。
クイクイっとロッドがしなった。ああ、ちっちゃい。朝の釣り師が言う通りだ。その釣り師はすでに場所を変えていた。
僕はこの近めの島の港の去年末の良型を忘れられず、数週間前に防波堤の際を漁船に網を引かれた件もあったにせよ、やっぱりやって来てしまった。
春の陽気に誘われて、僕のフライをくわえちゃったんですね?
この日の一週間後は今年の渓流が解禁になる。今年は解禁日が日曜日だ。例によって忘備録の本HPを見返すと、毎年渓流解禁前の最後のソルト釣行は、まずまず釣れた時もあれば結果が出ずに不完全燃焼で島をあとにした時もあった。
二月も下旬となれば、メバルの産卵後の姿が消える時期がそろそろ終わり、また釣れ始めてもおかしくない。しかし毎年気候が安定せずメバルの動向も違ってくることは十分考えられる。
またそのうち来るにしても、いったん渓流に行き始める前の締め括りをいい形でしておきたいと、毎年思うのだが。
日中は暖かくなりました。港は静かです。 少し雲が出てきても、海は凪いだまま。
最初のメバル食いつきとティペット引っ掛かり同時で切れたのが一番のチャンスだったという気がしてならない。
そのあとはチビメバルばかり数は釣れた。しかしこれじゃあ締め括りの満足度としては低い。
僕は過去何回かの二月末に行っている県最南端の島の港へ移動しようか迷った。ただあそこは潮位が落ちると防波堤際の石積みが露出してラインが引っ掛かる。
あとは・・・どこかないか?
このタイミングで新規開拓の港!? 良い潮だとどうだったろうか?
その防波堤に釣り人は居なかった。満潮が過ぎ、もうすぐ干潮になろうかという時間、また満ち上がり出せば釣り人も増えるだろう。
この港はほぼ初めて釣りをする。ほぼ、というのはかなり前にここで釣りした事があると記憶しているからだ。今のソルトの釣りを始める更に前に。今はやっていないフライショップの人達と来た記憶が確かにある。
キャストした。すぐにスズメダイが釣れた。こやつの魚影はたくさん見えている。
和風だしカレーメシはこのシリーズの中でもお気に入り。
渓流解禁前最後のソルトなのに、ほぼ初めての港でだなんて無謀だったか? 時間の経過とともに気温は上がってきた。
干潮が近いから潮流は弱い。それでも潮下にキャストして引いていると、ゴッっときた。最初の港のチビよりは良いサイズ。次のキャストでまた来た。これならベストの潮のタイミングだとかなり良いかも。
僕は来週の渓流解禁の事も忘れて干潮の海にキャストした。
少し汗ばんできた。島はすっかり春に追い抜かれた。
メバル様、ちょっとの間は川の方に行ってきますね。
CX-3君、次は川ですよ。