其ノ四百九十  春の兆しを察知する
繁忙期もあと少しで乗り切れそうなところまできた。
日曜日は休めるので、思い立って同じ県内の竹原市へ行ってみた。カメラを持ってのこの町の散策は何年ぶりだろうか。
僕が竹原を訪れた前日から、毎年恒例のたけはら町並み雛めぐりのイベントが始まっていた。
まだソルトウォーターの釣りにハマっていない頃、渓流の解禁前によくこのイベントに来ていたなあ。
久しぶりの竹原散策。日の丸写真館から。
江戸時代後期の次郎左衛門雛。 花は春の気配をしっかりと察知しています。
二月になり、長良川のシラメや四国の川など、早々と解禁の情報が目に付き始めた。僕の住むエリアは立春を過ぎてから寒波や初雪がやってきた。僕の行く川は三月から解禁なのであともう少し。そろそろ渓流のフライも巻かなければと毎週末のたびに思っているのだが、なかなか思うように進まない。
この冬は本をよく読んでいる。春の兆しを連想させる穏やかな文章を読んでいると、その気配を感じたくなった。それで竹原へ出向いてきた訳だが、実際にはかなり寒かった。
遊山さんのせいろ蕎麦。美味でございます。 カラカラ回る風車。もう少し温かくなったらいいかも。
町並み保存地区のあちこちで雛人形が飾られていた。
彩りが暖かで、冬から春へ移ろいつつあるのだと感じた。
しかし風は冷たい。カメラを持つ手もかじかんできた。昼前に着いたので、お昼を食べてもいい。僕はこの町に何軒かあるうちのひとつの蕎麦屋へ入った。
冷えたから温かい蕎麦を頼めばいいものを、つい好きなせいろ蕎麦にしてしまった。
でも正解だった。すばらしくうまい。いいお昼だ。
雛めぐりの竹原の町並み保存地区。寒いせいか、人通りはまばら。
お雛さまも何箇所か見てまわり、雰囲気を味わって通りを歩いた。
雪のない暖冬だったが、ここにきて帳尻合わせの寒波がやってきた。解禁直後はそれなりにきびしい釣りが待っているかも知れない。
満足度の高い撮影行も味わえて、僕は駐車場へ向かおうとして、気付いた。
うむ、鼻がむずむずする。そうか、花粉が飛んでいるんだ。こんなことで僕は春の兆しを察知した。
竹原ニャンコ先生、春めいたり冬に戻ったり。落ち着かない季節です(^^;)