2021 釣乃記
第参話  菜の花と桜の川へ
インターチェンジを降りてからの下道は、曲がりくねり前の車を追い抜く所がない。運が悪ければ降りてすぐ遅い車に捕まり、延々とその後ろをついて走る事になる。
遅い車が前にいなければどれだけ到着時刻が違うだが、大差はないと思う。自分のペースで走ると言うのが大切で、ストレスのない運転ができるに越したことはない。
この日、珍しく釣りエリアの近くまで全く遅い車が現れなかった。
僕は道沿いのすっかり満開になった桜を見つつ釣りエリアへ向かった。
本流二箇所目、去年見つけた場所だがここもまた雰囲気は非常に良い。だがハッチとライズは見られない。ここも土手には菜の花、山の斜面には山桜、すっかり春の景色なのに川だけがそうでない感じだ。
小一時間やって風も強まり始めたので僕は本流を諦めた。この日の釣りのイメージは、午前本流午後支流、だった。本流で満足できる魚が釣れたらそれで帰ってもいいと思っていた。しかしそうはならないだろうという思いもあり、保険の支流を午後に用意しておくという、なんだか最初っから本流では釣れないのが前提のプランと言えなくもない。
僕は来た道を戻り、いつも行く支流へ向かった。遅い昼飯をとり、保険のポイントを目指した。しかし、そこはかなりの減水で見慣れたポイントとは思えない変わりようだった。
菜の花で敷き詰められた河原。遠くに桜も。
CDCバインドのスペントパターン。しかしオールマイティではない。
車に戻ると集落の年配の男性が写真を撮っていた。その方を見ると神社の桜が見事に咲いていた。
「満開ですねー」
「満開じゃねー。釣りかいね?」
「はい。小さいのが釣れました」
その人は笑っていた。

片付けていると、車がかたわらに停まった。W氏だった。
恒例の解禁後ミーティング。今年は小さく数も出ないとW氏。そうか、僕だけでなくみんな調子が今ひとつなんだ。
W氏を見送った後、少しホッとして僕も神社の桜の写真を撮った。
いいペースで釣りエリアに到着。しかしこの日は更に走る。午前中は本流をやる予定にしていたからだ。
最初の目的の場所、河原は黄色い菜の花で埋め尽くされていた。
水位はいい感じに見えた。小さな虫が飛んでいる。ライズを待ちたいところだが、やはりキャスとしてしまう。CDCバインドのスペントパターンを投げると、偶然にも同じくらいの大きさのカゲロウが飛び立った。しかし、フライに出る魚はいなかった。
土手の桜は満開。こんなに早かったっけ?
1回目、2回目釣行と比べると、ちぃ〜っとだけサイズアップ。
今回、ウェーディングシューズを新調した。解禁一回目で足が痛いのと靴が滑るので、何度も尻餅をついたが、足の方は完治し、靴も新たなラバーソールでかなり滑りにくくなった。
川歩きの不安がいくらかでも解消されると、気持ちも上向き魚が釣れるような気がしてくる。

ここもスペントをキャストした。いれば必ず出る。しかし出たのはカワムツばかりだった。魚へのアピールはかなりのものだとわかったが、肝心のヤマメがいない。


新しいウェーディングシューズのラバーソールは優秀です。
雰囲気はいいのだが、肝心の魚がいないことには。
モグモグのおにぎりは半額(^^:) 
次のポイントも当然水位は低い。キャストすると放流魚っぽいチビヤマメが釣れた。
僕はため息をついて、次のポイントへ向かおうと思い、考えた。
次までは少し距離があり、滑る靴ではまず無理だが、今の靴なら行けると踏んだ。
多少ヨタつきながら、目的の場所に着いた。良い型がつく場所だがここ数年は釣っていない。
ファーストキャストで出た。割とよく引いたから構えて引き寄せたが、拍子抜けする小ヤマメだった。それでも釣ったプロセスは悪くない。


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