2021 釣乃記
第弐話  日曜日のナミヒラタ
車を降りてみると、寒くはないし風もない。一応土曜日でなく日曜日に釣りに来た狙いは当たったと思っていいのだろう。
支流の水量もなんだか丁度いいくらいに見える。僕はウェーディングシューズを履いて、痛みがないのを確認した。
今回も唐竹ロッドを持ってきた。規模もそれに合う川を選んだ。
陽射しはないので、一応フリースを着込んで川へ降りた。釣り人らしき人も車も見当たらない。
ここまでは懸案事項は一切なく、いたって順調だった。
不意に川からカゲロウが飛び立った。やや大きめのカゲロウ、ナミヒラタかもしれない。散発だがチラホラとカゲロウが飛ぶ。この日のような陽気なら、ハッチが始まってもおかしくない。
しかしライズは全くない。ハッチがあればヤマメがいさえすればライズするはず。ヤマメが・・・いないのか?

前方に餌釣り師が見えた。どの辺りからやっていたのか? 僕はまた川を上がった。少し下流側へ戻り、良さげなポイントがある区間へ。道路がすぐ横にあり、入りやすい場所だが案外釣りに入る人は少ない。
そして、ここでもカゲロウが飛んだ。水面から飛び立つそれは、ナミヒラタカゲロウに間違いないようだった。
鬼門のナミヒラタカゲロウさん、登場(^^;)
CDCバインドの、アイカザイムではなく、フラットウィング。
ゆるい流れと瀬になっている境目あたりで白いものが見えた。魚体! ライズ! 僕はこの日初めて気持ちがたかぶった。
CDCバインドのフライをキャスト。ポーンと魚体が飛び出た。あおっても掛からないやつだ。
落ち着こう。フライをアイカザイムに変えてキャスト。
着水するとスッとこそぎ取るような出方。合わす、空振り。
もう一度キャスト。出ない。出なくなった。
また水面からカゲロウが飛び立った。ナミヒラタかどうかはわからなかった。
金曜日の午後から雨が降り始め、結構まとまった雨量になった。これは渓流は増水か、そうでなくてもまだ荒れた天候は土曜日にずれ込むだろうと読んで、日曜日の釣行にした。
土曜日の荒れ模様は当たっていたと思う。風も強かったはずだ。

一昨年だったか、この川で今の時期にニンフで良型ヤマメを釣ったことがある。その良いイメージがあるから解禁当初は一回はこの川に来るのだが、たいてい強風か低温で苦戦するのが常だった。
霧雨が降り出し、でも寒くない。着込み過ぎか?
ナミヒラタとアイカザイム。似ているようなそうでないような。
ニンフは不発に終わり、浅くて緩い流れの小プールが現れた。ここはドライを流したくなる。
CDCバインドパターンの、フラットウィングにしたフライをキャストした。

風もなく、暖かで穏やかな日曜日。そしてフライに出るヤマメもいない。なんだか海と同じで穏やかすぎると釣れる気がしない。全くしない。
僕は不本意だったが、上流へ向かった。とにかく確実に一匹手にできそうな場所へ。
菜の花だけが元気に色を発してます。
寒々としていたのも最初だけ。
唯一の釣果。ちびっこヤマメさん(^^:) 
反応はなかった。僕はまた場所を変えることにした。
もう過去の実績ポイントの引き出しは使い果たした。入ったことのない区間を試すしかない。
漁協が放流しやすい場所。そこは解禁後二週間の間にかなり釣られてしまっただろうから、そこから少し離れて、放流された魚が落ちてきて、まあまあ育っていそうな、そんな場所。

河川工事をしているところがあり、その下流にちょっと良さげなプールがあった。

                   戻る  釣りTop  次へ