F.F.雑感
其ノ五百二十  春につかまった島で
最後は見事に凪いだ海。いきなりこんなに変わるのね。



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「ちょっと待っとってや〜」と船から声がした。
タコ壺の仕掛けを下ろす作業をしている。防波堤から30mくらいの所。僕や離れた場所の釣り師達は片手を上げて応えた。
タコ壺が防波堤に並んでいるのはあちこちで見かけるが、海に仕掛けるのは初めて見た。
一通り作業が終わったようで、船は離れ僕たちは一斉に釣りを再開した。
それにしても穏やかだ。キャスティングは楽だがやっぱり穏やか過ぎると釣れる気がしない。
船は離れていったがなんか居心地が悪くなった。 初めての港だし何かローカルルールがあるのだろうか。タコ壺を下ろしているようには見えなかった。
それでも折角来たんだからいくらかやっていると、ここでもチビメバルが釣れた。テトラ区間の途切れる際ではアナハゼが釣れた。
気がつくと若い釣り人が二人、別々に防波堤の一段上にやってきていてロッドを振り出した。同じようにやっている人がいると安心する。さっきの声はなんだったんだろう。
-2度の朝からは想像できないうららかな海。
今年ようやくのナイスサイズ男前メバル様、と思ったら抱卵されてました(^^;)
この一瞬の曇りがこの日の釣りを左右する!?
唐突に風が強まった。かなりの強風だ。そんな予報だったっけとスマホを見るとこれからしばらく風速6mの予報。
一段上の二人もすぐに降りていた。僕もこの港は一応様子はわかったから今回は諦めた。
風のなさそうな場所で昼飯を食べ、さて、どうするか。
結局最初の港に戻った。当然ここも強風で、しかも干潮が近くほかの釣り人はみんな帰って貸し切り状態だった。
もう一枚脱ぐのはやめた。風が強く体感温度はかなり下がる。
チビメバルが数匹釣れたが、ますます穏やかな気候になってきた。まるで島全体が春につかまったようだ。
出がけにガチガチに凍っていた車を見てビビってかなり着込んできたので、もう今は暑い。脱いでも置く場所がないから着ておくしかない。いや、そろそろ場所を変えよう。もうすぐ満潮で、次の場所で下げ潮を狙える。
僕は今いる港の一つ手前、だいぶ前にほかの釣り人から、防波堤周りが深くなっていて良い、と聞いていた港へ向かった。初めての場所だ。そこにも数人の釣り人がいたが、帰り支度をしている人もいた。満潮までと満潮から。狙いも人それぞれだ。
良さそうな場所まで来て、僕は一枚脱いでくるのを忘れたことに気づいた。まあしょうがない。防波堤際は情報通り深そうだ。ウィードも見えるし大きな岩を沈めている場所もあり、魚の付き場が結構ありそうだ。
と、突然声が聞こえた。僕の方に向かって少し沖がわにいる船から声がしたように思えた。ここで釣りしちゃいけないとか、そんなことを言っている? 他にも釣り人はいるが、一段下にいるから声のした船からは一段上に立つ僕しか見えていない。
海岸もぐもぐタイム。テーブルが不安定。
タコ壺とセキレイさん(^^;)
水面はやはり反応はないので沈ませる。シンキングラインの方が風が強い時も投げやすい。
夕まづめが干潮なので、夕方まで待てない。風は強いが日差しは海面にしっかり当たっている。
と、また全く唐突に風が止んだ。きれいに無風になった。そういうものなのか。
続いて陽が雲に隠れて陰った。ゴゴンっとロッドが引き込まれた。どれもこれも急だな。まさかメバルは陰ったのを夕方と思った?
風が止んだからまた暑くなった。やっぱり一枚脱いでくればよかった。
そもそもこの日は日中が暖かくなるのがわかっていたから、朝まづめで早めに結果を出そうと思っていた。
ところが朝は市内で-2度まで冷え込み、僕は布団から出られなかった(布団に入っていて外の寒さはわからないから、出れないのは-2度のせいではない)。
9時過ぎに市内から近目の島の目的の港に着いた。数人の釣り人とタコ壺の猟師さん。
ククっと手応え。水面は全く反応しないから、僕は早々にシンキングラインに変えていた。
ふふふ、2021年もワシじゃよ、ワシ。