2021 釣乃記
第陸話  ウエノヒラタとかじかむ川
バチバチっとフロントウィンドウに当たる音。あられだ。少し経つとみぞれ混じりの雨に変わった。おいおい、帰りに峠が積雪なんてことにならんでくれよ。
僕はある程度は予想の範疇だった悪天候を上回る荒れ模様に、この日の釣行は見合わせるべきだったと弱気なことを考えていた。

朝、峠の手前の本流はまだ小雨程度だった。目当てのポイントは、ひとつ目は反応なし、ふたつ目は先行者がいた。
みぞれが止むまでは車の中から出れそうにない。僕は峠越えの先の川に着いてからもすぐには釣りは出来ないでいた。峠からはだいぶ下ったがみぞれは降っていた。更に風も強く、みぞれが車に叩きつけられる。
フッとフロントウィンドウ越しにオレンジ色の虫が飛び去った。こんな天候でハッチしている虫がいるのだろうか? いや、案外こんな荒れた天気が羽化のスイッチを入れることがあるのかも知れない。
みぞれが止んだ。外へ出ると風がものすごい。そして寒い。これはとてもじゃないが釣りをする天候ではない。僕は川へ降りるかどうするか、決められないまままた車に乗り込んだ。
すると今度は急に日が差してきた。風も弱まっている。こんな急変する天候は要注意だが、これはチャンス到来だ。
マッチしてる? してるでしょ??(^^;)
あれこれ乗り越えて行き着いた先には冬の川が待っていた(>▽<;)
風が急に強まった。次々と水面に現れるカゲロウが風で吹き飛ばされていく。
するとそれを追い食いするようにライズが起こる。そこへ向けてキャスト。濡れたラインをたぐるから手がかじかんできた。
バシャっと出た。空振り。手が冷たい。よくまあこんな悪条件でハッチやライズが繰り返される。何がスイッチなんだろう。
フライをスペントから半沈みに変えた一投目、激しい水飛沫が上がり、僕のあおったロッドにようやくヤマメの重量が乗っかった。
週の真ん中、水曜日に有給を取った。僕としては珍しく平日の釣りに出かけた。
前回KSさんとの釣りで、本流が期待ができないと結論付けたが、やっぱり気になった。
いつもやる本流とは別水系、家から割と近い川へ向かった。そしてそこの二つのポイントで、まずまずの魚を一匹づつ空振りした。
ああ、どちらかを釣っておけば、余裕で帰れたのに。でも場所は覚えた。まだ次の週末も本流のチャンスはあるはずだ。
これは・・カゲロウ飽食・・・しすぎですな(*^^*)
スペントパターンは出方が荒い気がする。
で、週末になった訳だが、土曜日は昼過ぎまで雨が降った。雨量は多くはなかったが、降雨後の日曜日はチャンスだと期待していた。
ところが予報では日曜日は寒気が入ってきて不安定な天気になると言っている。まあ、水曜日の本流の二つのポイントのどちらかで釣果を上げてさっさと帰れば問題ない、と思っていた。

だが二つのポイントでは魚を手にするに至らず、僕はみぞれの降る峠を越えた。
と思ったら、カワゲラでした〜(^0^)。
ライズを取るのは格別な嬉しさがある。
わおー、黄色のでっかいカゲロウだ〜。
ロッドを持って川へ降りると、またオレンジ色が飛び立った。やっぱりカゲロウだ。オレンジで水面羽化ならウエノヒラタカゲロウのようだ。
と、また水面から飛び立とうとしているカゲロウにライズした。いるじゃないか!
大きさと色を合わせたフライをキャスト。ぽっかり浮く様はかなり水面のカゲロウっぽい。
バシャっと出た。空振り。またか。水曜日の釣りが頭をよぎった。

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