2022 釣乃記
第弍拾弐話  八月末の向かい風
気温18度。ちゃんと夏が終わろうとしている。
僕は目当ての場所に車がいなかった安堵感と、車の外に出た時の空気が今までの夏の渓と変わっていることを、同時に感じた。
僕は手早く支度をしてすぐに川に降りた。
前回の釣りの二つ目の川。増水でほぼ手を出せず、この川に注ぎ込む沢でゴギを釣っただけで終わった。
水位が落ち着いていれば増水明けのアマゴが元気よくフライに出るのではないかと、再び訪れた。
僕はこの日の前日はフラットにチヌを釣りに行っていた。干潮は午後16時、ゆっくり出られるのもあるし午前中は家にできたアシナガバチの巣の駆除をしたから、どのみち朝から出かける渓流は無理だった。
チヌ釣りから帰ったのが20時ごろだったので、もう翌日の日曜日に渓流に行くとかは考えられなかった。それが今年の渓流解禁期間の最後の休みだったとしても。
しかし、釣り仲間の釣りに行ったSNSの投稿を目にしてしまい、迷いが出た。前回のゴギを釣った釣りを最後にしてもいいと思っていたのだが、それはこれが最後だと決めて出かけてはいない釣りだ。
とはいえチヌに行った翌日に渓流となるとなかなかキツい。増水からだいぶ経ってその間雨は降っていない件、最後の週末だから土曜日に多くの釣り人が入っていそうな事、そして僕の体力的実力を考えると、休んだ方が良さそうだ。
なのに翌日、目覚ましもかけていないのに5時半にスッと目が覚めた。
ああ、今年も渓流が終わるんだと、そう思うより、釣らなきゃ(>▽<;)
木漏れ日の渓流沿いの道を辿る。また、来年まで〜。



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ピックアップするとブルブルっとロッドが震えた。
(掛かっているっ!?)っと思ったら外れた。あー、良い型だったっぽいのに。
なんでもない平らな流れだった。油断した。しかし可能性はまだある。
岸際の陰のちょっとした深みについていることがあるので、ていねいに攻めながら上流へ向かう。
時折ぴちゃっとしぶきが上がりチビがフライを突っつくが、大型のCDCスパイダーなので、チビはくわえきれまい。
水はちょうど平水といったところだろうか。前回の増水時から一週間以上経っていて、その間に雨は降っていない。
ひょっとしたら平水を通り越してまた渇水になってやしないかとも思ったが、大丈夫だったようだ。この日の一日前(土曜日)に渓流に行った釣り仲間からは、水の具合は良かったと聞いていた。
歩いてみると、平水と言いつつも川底の石のヌルは洗い流され、流れも高い透明度で、仲間の言う水の具合がいいとはこのことかと納得した。
木陰のもぐもぐすやすやタイム会場。涼風が吹けば極楽です。
フライを追い食いしたアマゴさん。ナイスファイト(^^;)
少しドラグがかかり始めた時、それを追ってアマゴが出た。
(良い出方だっ!) 僕はロッドをあおり、アマゴを寄せたが、走り回ってなかなかネットに入らない。元気なアマゴだ。

更に上流へ向かう。キャストすると上流側から風が吹き抜けた。たくさんの落ち葉が舞い落ち、ラインがあおられうまく飛ばない。
しかし、夏の終わりを連れてきたような涼やかな風に吹かれて、僕はやっぱり今日は釣りに来て良かった、と思った。
平水といいつつ、夏場は渇水の方が平水なのかも
CDCスパイダー。最後のアマゴは君が引き出してくれ。
定番サッポロ一番塩らーめん。らーめんはひらがな表記。 
それにしてもすっかり涼しい。この辺りの標高だと当然か。遠くでミンミンゼミが鳴いている。思えばこの夏は苦戦続きだった。
梅雨の雨の少なさ、そのあとも良いタイミングでの降雨がなく、降ったら今度は大増水。
去年おととしと夏の増水で良型を釣った場所は釣れず、いつまでも良型が釣れるポイントなんて望むべくもない。

対岸の岸際、木の枝がかぶさっているポイント。その下をフライを通過させた。