F.F.雑感
其ノ五百六十四  チヌへ、臨戦態勢
土曜日に釣りに行って日曜日はゆっくりする、というのが理想だが、そうはいかない時もある。
土曜日にいい釣りが出来なかった場合は、納得できず日曜日に出撃することも、元気と意欲が許す限りありうる。
それとは別に、チヌ釣りの場合は日曜日に仲間が行くからじゃあ僕も行くわ、というケースもある。
家でごろごろも悪くないが、仲間が行くんなら、背中を押されている気がするし、行かずにSNSの投稿を見たら行けばよかったと思いそうだし。
Tさんとは随分久々に顔を合わせた。前回は確か二年前、やはりチヌをやる仲間が集まった時で、思えばあの時と今とでは僕のフラットのチヌの釣り方はだいぶ変わった。
僕たちは色々話をしつつ準備もし、まだ潮位は高そうだが二人で川に降りた。まだ腰下くらいまでの深さで、最初はそれぞれゆっくり歩きながらチヌの姿を探した。この日は大潮あとの中潮で、しばらく歩いているとみるみる潮位が下がってきた。すると離れたところに移動していたTさんの声が聞こえた。手招きをしている。チヌがいたのか。
膝くらいの深さを上流側へ歩くのはなかなかしんどい。ようやくTさんのところに着くと、テイリングしていたと言う。その場所をやらせてもらう。キャストすると大きく外れてこれはダメだ。次にキャストするとなんとチヌの群れるど真ん中に落ちてしまい、全部散らせてしまった。
フラットに佇む仲間たち。魚っけがない時は、徹底的にない(>▽<;)
こう着状態打破のチヌさん。コンディション抜群でした。
この日は2番目のケース。午前中にSNSのコメント欄で話が出てあっという間に4人が集うことに。
僕はすぐに準備をしていち早く家を出た。干潮は夕方近くだったが潮位が高くても河口より上流側なら、到着する頃には徐々に釣りができるようになる公算だ。
目的の川の河口付近に到着。ちょっと早すぎたようで誰もいない。せっかく時間があるので川筋を車でたどってみたが、結構上流まで釣りはできそうだ。
ぐるっと回って河口付近に戻ると仲間のTさんがやってきた。
ファイト中の様子を撮ってもらいました(写真提供 Tさん)
前回この河口で話をした、すごく釣る人もおられた。徐々に満ち上がり、黒い魚影が波間にチラチラ見え始めた。
満ち上がる直前の波打ち際、左右に行き来する引き波が見える。チヌが潮位が上がって遡上する前の待機状態だ。
僕はその引き波にキャストするがフライに食ってくるチヌはいなかった。

少しすると例のよく釣る人が1匹目を掛けた。いよいよ満ち上がりの群れが入ってき始めたようだ。
Tさん、チヌの魚影を求めて。
するとTさんがまたテイリングを見つけた。今度は僕にも見えた。また譲ってくれた。失敗は許されない。
数匹がテイリングするそのどこに落とすか? 僕は一番端のテイリングの横を狙った。しかし落ちたのはまたしてもど真ん中。また全部散らせてしまった。

ほぼ干潮になった。僕とTさんは河口に向かった。すでにほかの仲間達は満ち上がりと共に遡上するチヌを迎え撃つ態勢で待っていた。
例の人は2匹目を釣った。相変わらずすごい。Tさんやほかの仲間も入ってくる魚影に投げている。
水面下に没した砂地と深みの境目あたりに魚影が見えた。なにやらモゾモゾしている。と、一回だけテイリングが見えた。
僕は投げようとしてさっきのテイリングを全滅させたキャストが頭をよぎった。
嫌なイメージを振り払いキャストした。散らない。そしてグーッとラインが引っ張り込まれた。
僕はロッドを立て、チヌとの臨戦態勢に入った。
まだまだ満ち上がりの時合いは続くよ、どこまでも(^^;)