F.F.雑感
其ノ五百六十二  見えるチヌと見え始めた釣り
なかなかに忙殺される日々が続いているし、週末も釣りに行けなかったりする。
ところがこれが釣りに不利かと言うとそうでもないフシがある。
結果論ではあるが、四月に本流アマゴを釣った時もかなり忙しい時期と重なっていた。その間隙を縫っての釣行が、良い条件に巡り会える。そんな結果論。

この度は土日出勤の後の平日仕事早上がり釣行だった。
釣り仲間に教えてもらった河口、前回は釣ることができなかった場所だ。
周囲はかなり潮が引いて川底が露出し始めているが、最後まで川の流れが残る筋がある。干潮になってもそういう場所に居残るチヌがいると仲間から聞いていた。
チヌの姿を探し歩いていると、サッと走られた。居るのに気がつかなかった。その先の流れの筋の脇の緩い溜まりに影が見える。僕はそっと近づきさらに見ていると、テイリングした。急いでラインを出しフライをキャスト。するとティペットがロッドティップにぐるぐる絡まった。慌てるな、自分。
ティペットをほどこうとしてもなかなかほどけない。だんだんぐちゃぐちゃになってきた。あー、ダメだ(慌てるな、自分)。ティペットを切り、結び直す。その間にもテイリングは続いている。早くしないと終わってしまうかもしれない。冷静に落ち着いて、フライをキャスト。風に流されテイリングの場所のだいぶ横に落ちた。
もう一度キャスト、今度はテイリングの上流側、そのまま流すとテイリング真っ只中に流れ込み、グーっと引き込まれた。
団子状態複数テイリング、どれかの主が釣れてくれました(>▽<;)。
日が傾き、潮が満ち始めた。
この日は大潮で、満ち上がりはみるみる来るだろうから、できれば下げ潮で釣っておきたい。
釣り仲間の情報でも上げ潮がかなりむつかしいとのことで、チヌは上ってくるしテイリングもするのに、釣れないようだ。

河口の土手の上から見渡すと、すぐにテイリングが目についた。僕は急いで降りてそっと近づきキャストするが、テイリングの主は静かにそこから離れていった。
気を取り直し、僕は上流方向へ向かった。
ダウンクロスのスィング、バッチリ決まりました。
今回の釣りは今までと違い、チヌを見つけてのサイトフィッシングに徹底した。
今までのブラインドも時合いやチヌの通るコースを予測してだから闇雲に投げていた訳ではない。
でも見つけて狙うサイトフィッシングはまた別次元だった。落とすところや流し方次第で食うか散るかがはっきり分かれる。

河口に着くとチヌはすでに遡上を開始していた。
群れてやってくるチヌたちは、いくら投げても散るばかりだった。
がっつりくわえてくれました。
いつものカニフライとマシュマロシェルのカニフライで。
潮が満ちたら、絶対テイリングと思うでしょ?(^^;) 
複数のチヌがやっていたが明確にテイリングを獲ったのは初めてかもしれない。
その場所の近く、流れの筋で数匹が定位している。ここで僕は仲間から教えてもらった、ダウンクロスのスィングをやってみた。やり方は頭に叩き込んでいる。
そのやり方を忠実に丁寧にやるとぐぐーんっときた。

流れ筋の居残り組をさらに狙っていたが、どうやら干潮のようで、僕は満ち上がり先頭組を狙うため、河口に向かった。
すると、群れから離れて単独でテイリングしているやつを見つけた。僕はテイリングのすぐ横にフライをキャストした。
フライを引くと少し抵抗があり、ロッドを立てるとググッ、さらにあおるとズシっと重さが乗った。
(きたっ! 単独のテイリングを一投で獲った!)
僕はラインを巻き取りながら、チヌの引きに耐えた。

そのあとの満ち上がりでのいくつものテイリングは獲れなかった。でも僕は少しサイトの釣りが見えてきた気がした。
銀ピカのチヌさん。これなら食べてもおいしそう(^^;)