2022 釣乃記
第弐拾壱話  増水に期待、ゴギに期待
夜明け前まで降っていたようで、峠を越える時は山は霧に覆われていた。
峠を越え、目的の川が近づく頃には晴れ間が見え始め、やっぱり暑くなるのかと、僕はため息をついた。
直前まで結構降っていて、それなら増水でよくなるあの場所へと思うと同時に、このところそこが他の釣り人に知られ、入渓者が増えたことも心配になった。
だがこの日は会社のお盆前後の連休で、平日の釣行。先行者はいない可能性は高いと読んでいた。
目的の場所に着くと、懸念していた先行者の車は見当たらなかった。僕はホッとすると同時に川を覗いてみてその水位に次の不安にかられた。(ちょっと多過ぎるかも) このポイントは確かにほかが増水で釣りができないような時に良くなる。しかしその増水にも限度がある。
もちろん来たからにはやってみるしかない。水は濁っておらず、水位の高さは過去のいい釣りをした時より数センチ高いだろうか。平らな流れなので激しく波立つことはなく、向こう岸ぎりぎりの緩流帯にヤマメが避難しているはずだ。
フライはCDCウィングのついたアント。クロスアップでキャストしメンディングを入れて流す。・・・出ない。いやいや、きっと出る。僕は何度も流し、次に上流側に移動してダウンクロスでも流し込んでみた。そしてようやく出た。小さい。
前日の雨の増水で、期待満々で川へ向かう(*^^*)
斑点鮮やか、マーブル模様のゴギさん。ありがとうございます(*^^*)
両岸の流れの緩いところを流しながら、もがくように上流へ向かった。流心はさすがに無理なので、僕もどちらかの岸際を歩く。
良さげなポイントは割とある。しかし目立つはずのマシュマロへの反応はない。
ピークの水位からまだあまり落ちていないだろうから、避難しているヤマメも戻ってきておらず、どこかの安全な岩陰でじっとしている、というところだろうか。

この時期、以前なら降雨を見定めての渓流行きが常だったが、今は河口のチヌ釣りがある。
僕は自分にしてはいさぎよくこの水系を諦めることにした。まだ時間は早い。別水系でいい具合の増水を期待するしかない。
峠まで戻り、次の目当ての支流を目指す。ここも増水で良くなる川の候補だ。

到着すると、うーん、やっぱりちょっと多過ぎるようだ。流れに逆らって歩くのもかなりキツそう。
少し上がっていけば、いい感じのプールがある。そこが良くなっていることを願って、僕は増水の流れに乗り出した。
もぐもぐタイムはポーチドエッグ風卵入り出前一丁(*^^*)。
そしてすやすやタイム。川風でアブも来ず、快適でした。
いつもは枯れている沢筋から水が出ている。増水しているから支流のさらに支流も水は勢いがある。
(そういやこの沢にちょっとした溜まりがあったな) 僕は思い出した途端、ゴギの可能性が上がってきて気持ちが高ぶった。
その溜まりはすぐ見えてきた。マシュマロをキャスト、リーダー部しか水面に落ちない距離だ。
フッとマシュマロが消え、合わすとグネグネうねる引き。ゴギだ。
これは全然チヌにだって負けない引きじゃないか、と思いながら僕はゴギを寄せ、背中のネットを手に取った。


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道の駅ニャンコ先生! 暑い日は椅子下の陰が一番ですな(^^;)
岸際は歩けます。ポイントとなる場所はあるのか?
やはり、どう見ても・・・多いです。 
チヌは九月になっても釣れるが、渓流は八月末まで。条件が許す限り渓流に行きたい。
この度の雨で増水が予想以上だったが行くのに迷いはなかった。
とは言えチヌを釣る河口はほかの仲間達も行く。そうなると僕もそっちの方に行こうかという迷いは生じる。
何人かがやっても釣りが成立するのは河口の釣りの良さだ。みんなが釣れるかどうかは運もあるが、可能性はある。
ひょっとしたらこの日の釣りが渓流最後で、次の八月最後の週末はチヌに行くかも、とふと考えた。