F.F.雑感
其ノ五百六十一  蕎麦と、サイトで釣るチヌ
ひと頃、蕎麦にハマっていた時期があった。普段でもだが新蕎麦の季節になると、近隣の蕎麦屋に行きまくっていた。
それがすっかり行かなくなった。よくある話であれほどハマっていたものがあっさり醒める。まるで満ちた潮が引いて行くように。
もう何年も蕎麦屋に食べに行っていない。そろそろ行ってみてもいいかな〜。

そんなことを思うようになった頃に、そばとふらいふぃっしんぐという本が出た。
蕎麦のうまい店とその近隣の釣りの話(順番が逆?)を綴ったとても面白い本で、当然読んだら釣りに行きてたくなる、じゃなくて蕎麦を食べたくなった。
店に食べに行くのはだいぶ間があいていてなんだか億劫だったので、乾麺を。それが結構ウマい。キリッと冷やしたら喉越しも軽快にすすり食べられる。テレビで見て何度か買ったりしていたが、乾麺の蕎麦、あなどりがたし。
すごくハマっていたのがあっさり潮が引く経験は、日本酒もそうだった。たまに買ったりするが、毎週末いろんな銘柄を買い求めることはなくなった。それに類するものにメバルのフライフィッシングも挙げられるかもしれない。渓流のオフシーズンにまだ早いとわかっていてもメバルを求めて島へ渡ったりしていたし、それから年末にかけて、さらに年が明けてもほぼ毎週行っていた年もあった。それが今年の1月2月は例年にない釣行の少なさだった。
それはチヌを始めたことも影響があるかもしれない。時期はかぶらないが、ソルトウォーターのフライフィッシングというジャンルにはかなり満足しているから、以前ほどメバルに躍起にならないのかも。前シーズンがメバルが不調だったこともある。それでも今年の初釣りはかなり良い釣りだったのだから、まだ潮が引いてもらっては困る。
そばフライ本。読んだら食べたくなったので早速(^^;)
なんとか釣れたチヌさん。暑いので帰ったら蕎麦でも食べようか(*^^*)
そうは言っても今熱くなっているのはチヌだ。
渓流も良い雨が降れば行くが、そうでなければ潮が良い限りチヌに行く。

前回KK君と合流した時の釣りは釣れなかったが、どうしても気が済まなく、翌日の日曜日にも釣りに行った。
干潮が18:30なので、満ち上がりの時の暗くなる前のワンチャンス狙いで。場所はよく行く市内の川ではなく、市内から少し離れた西の川。去年のラストキビレを釣った場所だった。
満ち上がり、そして日没。
先頭の引き波に向けてキャスト。こちらに向かってくるチヌの目先に落とした。引き波は消えた。方向転換したようだ。
満ち上がり最初の群れが一番やる気があるはず。さらに引き波が示すチヌの位置にキャスト。引き波がうねってチヌが反転した。正面から迎え撃つのは直接すぎるか。
立ち位置を変え斜めからチヌが上がってくるコースにフライを送り込んだ。
グググーっとロッドに手応えが伝わった。水面が風で波立って見えないはずの水中に、僕ははっきりとチヌの姿を見た。
ファイバーをヒートシールしてカニフライ。
名付けてマシュマロホットサンドシェルクラブ(^◇^)
潮がまだ高いうち、僕は岸の石に座ってうたた寝をしていた。潮だいぶ下がってきた頃、河口の横にあるアサリの養殖場にアサリ収穫の人たちがぞろぞろやっきて、僕もそれを合図に釣りを始めた。
ところがそれとは別に川を歩いて下ってくる人たちがいた。海藻とかを拾い集めているようだ。後からわかったが、近くの牡蠣打ち場の外国人労働者の人たちだった。
彼らは河口にまで進み、海藻を拾い、ついには素潜りまでやり始めた。満ち上がる時にそんなことされたら釣りどころじゃなくなる。
「ソーリー、フィッシング」と、意味が通じているかどうかわからない単語を発し、手を合わせてみた。するとひとりがわかったように引き返したが、他の人は気が付かない。うー、だめか。
ほぼ干潮ですでに河口の先には満ち上がりとともに遡上しようとしているチヌが待機しているはずだ。河口を彼らが行ったり来たりする、その逆を僕が行ったり来たりしながらキャストを繰り返した。なんだか、こんなことしてても釣れそうにない。
そうこうしているうちに河口から引き波が見え始めた。チヌたちが入ってき始めた。振り返ると、海藻集めの人は上がり、それについて行くように素潜りの人も川から上がった。ギリギリで助かった。これでようやく本当の相手のチヌに向き合える。