2024 釣乃記
第拾伍話  台風の雨、瀬のヤマメ
(あー、これは無理だ。どうやってもこれはできんでしょ)
僕は増水した川の流れを見ながら次の川を頭の中で検索していた。でもここがダメならあとはあそことあそこ、と、もうすでに候補は決めてある。
僕は来た道を引き返し、別の支流を目指した。まだ8時前、早起きして出てきたから時間は余裕だが他の釣り人が僕の行こうとしている川に先に入っていやしないか?と気持ちは焦る。
いやでもこんな日に釣りに来る人は・・いない? いやいる?
まだ台風の影響が残っているのに、無理を押して釣りに来る。それはこの土曜日が今年の禁漁前最後の日だからだった。
今年は8月31日が土曜日。7月の中旬の釣りを最後に僕は渓流には行っていなかった。ずっと雨が降らず渇水で条件が最悪なのがわかっていた。だからフラットのチヌばかり行っていた。そうするとチヌに飽きた訳ではないが、渓流に行ってみたい気持ちがくすぶり始めた。
禁漁の一週間前、ほかの釣り仲間が今期最後の渓流に行っていた。予想通り厳しい釣りになったようだが、くすぶっていた気持ちがさらに強くなった。それでもこのまま行っても徒労に終わりそうだし、7月中旬の釣りを最後にして、もう行くのはやめておこうと思い始めていたら、台風の発生。土曜日の状況次第だが、ギリギリになってラスト釣行の可能性が出てきた。
雨宿り中。そして車にカッパを取りに戻るかどうか考え中(^^;)。
普段は細い流れもこの通りたっぷり水量の流れに。
我ながらよく見えた。瀬を走り回るのを寄せネットを差し出すが、かわされて走られる。もう一度寄せ、今度はすくった。
おさまっていた雨がまた強く降り始めた。

近くにあるキャンプ場の東屋で着替えをし、昼飯を作った。
数組のキャンパーがテントを張っていた。風はなく、雨が静かに降っている。
過ごしやすい気温だが、台風が去り晴れてきたらまた夏が戻ってくるんだろうなと、僕は思った。
台風10号がかなり遅い速度でこちらの近くを通過した。
台風が九州にいる間から雨はかなり降った。週末には通り過ぎていると思ったが、速度を落としたので、土曜日はまだ四国辺りにいるようだ。徐々に遠ざかるはずだが、土曜日はまだ影響が残る。

二箇所目、途中に釣り師らしき車が停まっていた。やっぱり来てる人はいるんだ。
僕が入ろうとしていた辺りに車はなかった。増水具合も釣りができないほどではなさそうだ。
釣り終えて車へ。またカッパ持たずに釣ってたら降り出しました(^^;)



                              戻る 釣りTop
ここ3,4年の最終釣行の中では、一番いい型でした(^^;)。
大抵カッパを着ると雨はやむ。そして脱ぐと降る。
だが今回は着てもやまなかった。着いた時は22度と猛暑を忘れさせる気温だったが、カッパを着たら快適さは損なわれる。
反応があった場所はもう出なかった。進むといい感じの増水具合の場所があるが、反応がない。
時折、小雨だったのが急に大粒雨の本降りになり、雨粒がカッパをバチバチ叩く。
今年の最後の渓流だから、増水覚悟で来たが、ずっと雨が降るのは予想していなかった。
増水の流れのヤマメさん。避難中でしたかね?
台風で引きこもり用の本も確保していました。
木が倒れかかってた。電線に引っかかってる(^^;)。 
思えば去年も夏にあまり雨が降らず、7月1回、8月1回の渓流の釣行だった。
今年で言うと7月が1回多いだけでほとんど同じペースだが、最後が渇水ではなく増水と雨降りと言うところが大きく違う。

あまり水位が増えていない瀬。フライを流すとスッと影が動いた。
合わすが掛からない。なるほど、こういう出方か。しかも深みよりも瀬に居るようだ。
すぐ先の瀬、流すとまたスッと影が横切り、合わすと掛かった。
台風はまだ近い所にいるが、僕は出掛けてきた。予想以上の増水や道路に落ちた木の枝や葉が、台風の影響をまざまざと見せつける。
二箇所目の支流で支度をして川に降り、数投で魚の反応が見えた。
(居る。イケる)僕は気持ちがはやるのを抑えつつキャスティングしようとした。するとザッと雨粒が落ち始めた。これから釣ろうという時に。
カッパは車に置いてきてしまった。しばらく木の下で雨宿りをしたが、だんだん濡れてきたので思い切って取りに戻った。
ラストもぐもぐタイムはキャンプ場東屋で雨を眺めながら焼きそば。