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2024 釣乃記
第拾肆話 藪萱草と合歓木の咲く川
目の前で木から花が落ちて流れてきた。前方に合歓の木があり花をつけている。
花はだいぶ落ち出しているようで岸の草の上にもたくさん落ちていた。ここまで一気に咲いているのは初めてみた。 川は思ったほどの増水ではなかった。川によってだいぶ違うな。 僕は丁寧に良さげな流れにフライを投じるが、水面に落ちない。蜘蛛の巣がかかっている。 なぜか増水狙いでは蜘蛛の巣には縁がなかったが、この川ではそうもいかなさそうだった。 週末前の木曜日にまたまとまった雨が降った。週末はそろそろチヌに行こうかと思っていたが、増水の渓流狙いは雨次第なのでそんなにチャンスはない。ここはやはり渓流に行くことにした。
場所は増水したら良くなるいつものところで、この二週間で三回目になる。朝4時に起きて出発、7時前には第一投をしていた。水位は一回目と二回目の中間くらいで、一番いい。ところが、何度流してもフライには何も出てこなかった。いきなり4時起きで130km走ってきた苦労がのしかかってきた。思えば二週間で三回は来すぎだったろうか。一回目で良型をバラし竿を折り、二回目で中型を釣った。平日の間にも誰か釣り人が入っている可能性もあるが、自分でポイントをスレさせたのかもしれない。 結局上流側からのダウンクロスで、フライを動かし誘って可愛いのが一匹。こんなはずじゃなかったのに。 そこを諦め、その前後の増水でもなんとかできそうな場所をやってみた。フライを追う魚影は見えたが釣れなかった。
合歓(ねむ)の木が一斉に花を付けていた。
流れ込んでいた小さな沢で、起死回生(!?)のゴギ(^^;)
小さな溜まりにフライを落とすとタカハヤが突っついてくる。そうだろうな。その先の溜まりにキャストするとドバッと出た! ゴギだ。狭い溜まりを走り回る。
(ヤマメを釣りに来たんだが)ネットですくい、そう思いながらも僕はひと安心した。 行きでは意識しなかったが、帰りの道すがら道路脇に藪萱草が一斉に咲いているのが目に止まった。合歓の木もそうだが、長く咲いている花ではない。ゴギも花も巡り合わせだと、僕は思った。 先週、有休で釣りに行って折れたロッド。修理ができたとM川氏からメッセージがきたので取りに行った。
全く以前と変わらない調子で、言われなかったら折れて直したとはわからない。 この唐竹のロッドは手に入れて四年になる。毎年本流がひと段落したらこのロッドの出番で、素材の唐竹や3ピースでノードレスという仕様、そして何より振った時のアクションが気に入っている。 直って本当に良かった。折った時の釣りは散々だったが、それはもう忘れた。
流れの筋にうっすらもやがかかる。
車に戻ると別の車が通りかかり、話しかけてきた。ルアーマンでやはり増水を狙ってきたそうだ。
少し話をしてその中である川がフライには良いのでは、と彼が言った。確かに良いかも。ルアーをするにはチャラ瀬が多いから彼は行かないという。行ってみようという気になった。 それが合歓の木の川で、良い感じの増水具合だが蜘蛛の巣も多い。 キャストするとあらぬ方向にフライが飛んでいく。蜘蛛の巣を引きずっている。手繰り寄せて蜘蛛の巣を取るがなかなか取れない。
夏はやっぱりサッポロ塩で決まりです。
使ってみても全く以前と同じ。M川氏、ありがとうございました。
狙いのポイントの可愛いヤマメさん。
そんなことを繰り返す。かなり厄介でストレスがたまる。それにヤマメの反応が思ったほどではない。何度か出たが掛からなかった。
朝イチで誰か入ったのか? 蜘蛛の巣はびっしりかかっていないから、切られた後また張られたのかも。どれくらいの時間で再生するんだろう。 ふと、この川筋に注ぎ込む小さな沢があるのを思い出した。入ってみると不思議なことにそこには蜘蛛の巣はない。 |