2025 釣乃記
第拾伍話  ヤマメと山椒の夏
なんと六月中に梅雨が明けた。梅雨入りしてから十八日後、観測史上最短で最速の梅雨明けらしい。
週間天気予報を見てもずっと晴れマーク。こうなると雨不足が深刻、農作物にも多大な影響を与えそうだ。また米がおかしなことにならなければいいんだけど。
そして暑い期間が長くなるだろうから、日々の生活も辛いが釣りもいい条件ではない。
ここ何年か、夏の渓流釣りの回数はだいぶ減っている。暑さと渇水で行っても徒労に終わりそうだと思っているからだ。
直近は河口フラットにチヌ、キビレを釣りに行っていたので、渓流はほぼひと月振りだった。さらに沢に入ってのゴギとミズというパターンが続いた。だからこの日狙っているポイントはヤマメだが、ヤマメはGWに釣って以来ふた月釣っていない。
これからフラットが良い時期になるが、渓流がご無沙汰になるのはやっぱり少し寂しい。できるだけ行きたいがそれは条件次第になってしまう。
支度して川に降りると、川筋の風が冷たい。およそ熱中症警戒アラートが出ている場所があるなんて想像できない。長袖1枚だから何か羽織ってくれば良かった。
フライは去年から巻き始めたピーコックのねじねじボディのパラシュート、#11。存在感で誘う。流れをまたいでキャスト、対岸の際にフライを落とす。ボショっと出た。合わすが掛からず。あー、でも今のが最大のチャンスだったのではないのか?
さらに二度ほど出たがどれも掛からず。こりゃいかん。ちょっと落ち着こう。僕は今結んでいるフライがデカ過ぎる気がしてきたので、#15のアントパラシュートに付け替えた。浮力は頼りなくオレンジのポストがギリギリ見える浮き方で流れていく。
朝は快適だったのに、日が上ると町と変わらん暑さ(^^;)。
増水幅広夏ヤマメ、バレなくて良かった〜(^^;)
昼前には川から上がったがその時点で30度。もう町と変わらない暑さ。帰りに木があるのを覚えていた場所で山椒の実を収穫した。

帰ってから山椒の下ごしらえをしながら、釣友のKK君が「暑くなってもまだヤマメが釣れるうちはヤマメを釣りたい」と言っていたのを思い出した。
これから猛暑の夏が続く。それでもできるなら彼の言う通りもっとヤマメが釣りたい。僕はそう思いながら山椒のピリッとした痺れに夏を感じた。
さすがに早朝だと道路は空いていた。1時間半で目的の場所に到着し、ほかの車がいないことに安堵した。
週の途中、梅雨明け前にかなりの雨が降った。その増水が少し引いた時が狙い目のポイントがある。何年か前、そこを狙って朝早めに行ったが、タッチの差で先行者が釣りの支度をしていたことがあった。
今回は4時起き、現場着は7時前だった。水量もいい感じ、そして何よりも涼しい。気温16度、ちょっと肌寒いくらいだ。
川筋は涼しかったけど、上がって日向に出たら、暑っう〜(^^;)



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増水の川をなんとか上流へ向かう(^o^;)
また出た。合わすが掛からず。うー、フライサイズを落としてもダメか。このままじゃこのポイントを全部潰してしまう。
そういえばこのポイントで数年前、出ないヤマメをダウンクロスで引っ張り出して釣ったことを思い出した。
上流側に回り込み、ダウンクロスでアントを流し込んだ。でも出ない。
一歩下流へくだりまたキャスト。フライはナチュラルに流れているはず。っと、パッシャっと水面が弾けた。
まずはちりめん山椒。痺れる〜(>▽<;)
小さめのアントはここぞと言う時に。
山椒の実、初収穫。  
合わす! グングンっと手応え。掛かった! 重い引きを耐え、流れに入ったヤマメを寄せつつ自ら寄っていく。
過去に増水のこのポイントで何度もバラしている。バレるなバレるなと祈りながらネットを差し出した。そしてネットからもズシっと重量が伝わった。
この時点で七時だった。まだまだ釣れる。僕はそこから増水の流れを上流へ向かい、ほかの目星をつけているポイントを攻めたが、それ以降フライに出るヤマメはいなかった。