2025 釣乃記
第玖話  ゴギからコシアブラへ繋ぐ
「寒っ!」 車から出て思わず声が出た。
明け方は七度くらいまでに下がったこの辺り。これから標高を上げていくからさらに冷えてくる。
コンビニで食料を調達し、僕たちは目的の谷に向けて出発した。

Tさんはかなり薄着だ。僕のカッパを貸そうかと言ったが、「ウルイを探しながら釣るので動いてあったまるから大丈夫」とTさん。
晴れて朝が冷え込んだが、日中は気温は上がってくるだろう。問題はゴギの活性とウルイの在処だ。
今年の渓流解禁後、釣りか山菜か、釣りがダメならせめて山菜を、いやそれは釣り人としてどうなのか?・・・などとあれこれ考えたりしたが、いくら考えても渓流釣りと山菜は時期が被っているのだからこればっかりは仕方がない。どちらも満足できればそれが一番だし、二股かけてそのせいで両方ダメになるなんてわざわざそんな最悪のパターンを考えることもないだろう。
雪の多さで例年より釣りの調子が上がらないのと山菜にハマったのが、たまたま同じ年に重なって余計にややこしく考え過ぎてしまったんだと思うことにした。

Tさんとの去年に続いてのGW釣行。まずは僕がよく行くゴギ渓に入ったのだが、結局僕の出会い頭のゴギ以外はパッとせず、去年のGWにTさんと一緒に入った川に向かうことにした。この場所から割と近くにある。
Tさんは最初の川でウルイを見つけることはできず、僕もウルイの画像をスマホに保存しあわよくば見つけたいと思っていた。次の川は去年はコシアブラを採ったので、今年もと思っているがどうだろうか。
今年初の本格的なゴギ渓釣行。Tさんと釣り進む。
躊躇せずフライに食いつくゴギ。こういう釣りがストレスがなくていい。
昼からの入渓だったので僕たちは無理せず退渓し車に戻った。
車を停めていた場所のすぐ横で、「コシアブラだ」とTさんが言った。なんと、車の横にコシアブラがあるじゃないか。
テンポの良い釣りと山菜の収穫。探していると見つからないのに、間がいい時はこんなものなんだ。
合わせるお酒が家にないからどうしようと思ったが、帰りの道の駅でTさんお勧めのどぶろくがあった。酒が手に入ったならコシアブラは天ぷらにするか、と僕はつぶやき、Tさんがつられて笑った。
新子クラスのアマゴが掛かる。水は冷たくこんな奥の小渓流だと渓魚の目覚めは遅れそうだ。
僕が先行している時、不意に沈み石の陰からゴギがフライをくわえた。(ようやくゴギ、しかもちょっと良い型!) 小気味良い引きをいなしてネットですくう。
しかしこのあとフライに出るゴギもアマゴもおらず、これが竿抜けの一匹だったとあとからわかる。
車に戻るとちょうどお昼。あっという間だった。僕たちは昼飯を食べることにした。
体感的には結構暖まってきた。
コシアブラの天ぷら。ほろ苦いうま味が口の中に広がる〜(*^^*)



                     戻る 釣りTop 次へ
川の調子がゴギの調子。この日は当たり!?
川に降りて程なくTさんがライズを見つけた。そしてすぐにゴギをキャッチ。
「まだ奥に居るから」とTさんが指差す。Tさんが釣ったのは手前、僕はそのポイントの奥にフライを投じた。すぐに出た。
少し進むとまたTさんが釣る。これはかなり活性が高いな。僕が先に進む。良さそうなポイントが見え、キャストすると一投できた。
「早すぎる〜」どうやらTさんは僕が釣る瞬間を動画撮影しようとしていたらしいが、釣るのがすぐ過ぎて間に合わなかったようだ。
まずは手早くマヨポンで。どぶろくと。
これくらいのゴギが釣れたら十分うれしい(*^^*)
今季初のコシアブラ。  
Tさんと僕はテンポよくゴギを釣り進んだ。それにしてもこれだけ快調に釣れるとは。
「入った時間が良かったんでしょうね」とTさんが言う。
最初の川で昼前までやって、ここに来たのは昼過ぎ。これが朝イチからここだったらこうは釣れていないだろう。昼からの入渓で水温が上がりゴギの高活性化とタイミングが合ったと言うことか。
ただ、ウルイもコシアブラも見つからなかった。今回は釣りは良くても山菜は不発。良い時もあれば悪い時もある。