2025 釣乃記
第拾話  今度こそ、ヤマメとコシアブラ
(微妙だ〜) 僕は川の水が薄っすら濁っているのを見て、予想はしていたがそうでないことを内心願っていたのが、やっぱり予想通りだったことに落胆した。
ゴールデンウィーク中盤、例年ならそろそろ田おこしの濁りが川に入ってくる頃だった。
それに加えて二日前に降った雨の増水もあり、ポイントが消えている。濁り+増水、本流でこの条件はかなりきびしい。
でも折角来たのだからもちろんやるだけやる。テンションは低めだけれども。
ゴールデンウィークはボウズあり、釣友とのゴギ釣りありと、一進一退。特にヤマメは四月中旬に釣って以来姿を見ていない。さらに言えば前回ゴギと山菜が両立したが、ヤマメと山菜はまだ両立していない。二足のわらじに自分自身戸惑ったが、今は開き直って両方成立させられるに越したことはないと考えるようになった。
ゴギ釣りの時のコシアブラはその日はマヨネーズポン酢でサッといただき、翌日には天ぷらにした。コシアブラのほろ苦さが口から鼻に抜ける。ああ、うまいな〜。しかし天ぷらはその前にタラの芽やコゴミ、さらに前にはふきのとうでもやっていて、ちょっと食べ過ぎてるかなと背徳感も同時進行で見え隠れしていた。
そのコシアブラは今回もまだ十分採れると踏んでいた。ヤマメ・山菜両立の片方は成立しているようなものだ。
新緑が鮮やかになってきました。
川の条件が悪くても、やっぱり行ってみると何が起こるかわからない。
ヤマメが釣れたからあとは予定通り、コシアブラを採りに向かった。なんにせよ、釣れて良かったとつくづく思う。
さらに前回以上のコシアブラを収穫し、意気揚々と帰路に着いた。

前回天ぷらにしたので、ここ最近の脂質摂取量が気になる。今回はやはり控えめにマヨネーズポン酢だけでと思ったが、どうしても天ぷらにしたくなった。
(これが最後だから)僕は誰に言い訳するでもなくそう思い、鍋に天ぷら油を注いだ。


    戻る 釣りTop 次へ
狙っていた場所は平水でもかなり流れが激しい。そこへ持ってきて増水だから、手が出せなかった。僕は岸伝いに移動し少しでも流れのゆるそうな、増水時にヤマメが身を潜めていそうな場所を見つけてはフライを投げていった。
スッと魚体がフライを追った。合わすが掛からず。予想外に割ときつい流れで出た。
(少し間をおこう)僕はフライを乾かしつつフロータントも塗って気持ちも落ち着かせた。
この日の状況で、魚が出てくれる場所はそうそうないはずだ。
きっと天ぷらはこれが最後、コシアブラやっぱりうまい。そして富久長〜(^o^;)
うーん、やっぱり水が多いですわ(^^;)
こうなると、なおさらわずかなチャンスは大事にしたい。一度フライを追ったヤマメ、出てくれるだろうか? 僕はリフレッシュさせたフライをもう一度投じた。
スッと魚体が水面に出た。合わす、掛かった! いい感じの引きがロッドに伝わり、寄せてネットですくう。
(釣った釣った)まずまずのサイズ、これでもう両立は達成したも同然だ。僕はほっと息をついた。濁りと増水でよく釣れたよ。ついでにと、釣ったその上流にフライを投げた。
もぐもぐタイムはあっさりの金ちゃんラーメン。
三週間ぶりのヤマメでした〜(^^;)
コシアブラ、ラストだろうな〜(^o^;)  
ピチャっと小さく水面が弾けた。チビが出たか? とロッドをあおるとズンっと重たい手応えが返ってきた。
(さっきのより良い型だ!)僕はゆるみそうになったラインを大慌てで手繰った。瀬に入った魚は強い引きでくだる。と思ったら今度は上流へ走り出す。
僕はその引きに耐え、ようやく寄せてネットですくった。
さっきのやつに続き、この濁りと増水の中、ホント釣れてくれて感謝感謝だ。僕はことさら丁寧にヤマメをリリースした。