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其ノ四百二十三 また強風、また錯綜 | ||||||||||||||||||||||
いつもは釣り人が多い防波堤が空いていた。 それもそのはず、かなりの強風が吹いている。二週間前の釣りは久々に風が弱く楽な釣りだったが、また今回もという訳にはいかなかった。 それでも島に来たからにはロッドを振らずには帰れない。風の止み間をうかがいながらキャストしてみた。 強風はほとんど止む事はなく最初に居た釣り人もひとりまたひとりと帰っていった。 |
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遠くに四国の山々が見える港。結局ここまで来た。 | ||||||||||||||||||||||
あとから来た数組の釣り人もロクに釣りをしないで帰って行く始末。 このままここで粘っても良い事にはなりそうもない。他の釣り人の動きに流されるように僕もこの港を諦めた。 どのみちこの日は市内から近い島に来ている。ほかにも小さな港はいくらでもある。 ただ過去に釣りをしたことのある港がやっぱり安心だ。その港へ僕は移動した。 |
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強風なので11ftはお休み。いつもの9ftで。 | ||||||||||||||||||||||
潮流の弱い時に沈みのいいシステムで攻めるやり方をイメージして準備してきていたが、もうそれどころではなくなった。ここまで風が強いとまともにフライを着水させるのがやっとこさで、それがうまくいっても結局そのあとラインが風で引きずられてしまうので、まず釣れない。 二ヶ所目の港はまだ数人の釣り人が粘っていた。僕も空きスペースでロッドを振り始めたが、反応はない。一ヶ所目で時間を使ったからもう満潮を過ぎて潮が下がり始めている。その後移動して更に数ヶ所を巡ったが、ついに一度の反応もないまま、僕は県最南端の島へ行くしかないなと腹を決めた。最南端の島は七つの橋の島の次によく行く島だ。しかし今回は不利な条件が重なっていた。 |
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最南端の島の港には誰もいなかった。海面は風で波立ち、波頭がさらに風であおられて飛沫が宙に舞っていた。 数週間前も風の強い日にここで釣りをしていたが、その時を上回る風速なのは間違いない。これはもう尋常ではない強風だ。 そして潮位がかなり落ちていた。干潮までもう時間がない。ここの防波堤は潮位が下がると防波堤際に石積みが現れる。これでは防波堤際を攻めることができない。 |
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メバル様が溜まるはずのゲート下も反応無し。 | ||||||||||||||||||||||
思った通り、露出した石積みや岩に引っ掛かり、続けざまにフライをロストした。 ただでさえ強風で思うように投げられないのに、干潮前の不利が重なり、精神的にもかなり追い詰められてきた。 気が抜けていた。ゴッと突強風が吹き、あっと思った時には帽子が飛ばされていた。後部のバンドをきつくしていたが効かなかった。 帽子は露出した石積みの上に落ちていた。拾いに行くか。 |
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やっとこさのメバル様。敵はメバル様ではなく強風と干潮だ。 | ||||||||||||||||||||||
岸側から防波堤の下に露出した石積みを防波堤突端近くの帽子の落ちた所まで歩いた。 滑るし石は動くしかなり危険だ。やっと帽子を確保した時に、目の前にポイントになる海面があることに気付いた。 そして防波堤そのものに風が遮られている。ここからキャストすればっ! 僕はフライを投じた。散々強風に翻弄されたが、その風に帽子を飛ばされたおかげで、この日の一匹が手にできた。 |
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日が暮れて雲はちぎれ、風はまだやまない。 | ||||||||||||||||||||||