其ノ四百五十四  小春日和の小潮の島
「それで何が釣れるん?」
きたきた、この日も早速の質問コーナー。やんちゃな感じの若い釣り師おにいさん。
「メバルとかアジとか」と答えると、ほほーという顔をしていた。
「さっきいいカレイを釣ってましたね」と言うと、「まあまあよ」と笑っていた。

近場の島に到着した時が干潮。釣り人もまばらでなんとなくゆっくりしていた。
すやすやタイムは緊張感とリラックスの狭間で (  ̄▽ ̄)
最初のドクターヘリのポートのある港で小一時間。全く反応がないので、本命の港へ移動することにした。
上げ潮の潮流が始まるまでまだもう一時間はある。
本命港は誰もいなかった。これから少しづつやって来るだろうけど、この日はこんな感じなのかも知れない。
それにしても穏やかだ。風も微風でなによりも暖かい。
曇る予報も外れて柔らかい陽光が降り注いでいた。
春の霞みがかかったような風景。
イワシ様ゲット。ただの棒みたいです(^^;) どんきつね様のどん兵衛明太風あんかけは秀逸。
「フライですか!? おもしろそうだなあ」
あとからやってきた若い人が声をかけてきた。ひと港ひとりは話しかけてくる。
ようやく潮位が上がり始めてきた。この日は小潮だから潮流はあまり期待できない。わずかな時間だけの地合いになるかもしれない。
少し離れた場所に入った若い人はなんだか丸っこい浮きのついた仕掛けをキャスティングしていた。
限られた時刻だけ反応のあったメバル様。
あれは確かフロートリグというやり方では? 軽量リグを遠投で使うシステム。ネットでよく見かけるワードだったが釣り場で見るのは初めてだった。でもそれは僕以外のソルトウォーターのフライを釣り場で見た事がないのと同じか。
それにしてもこの日はとてもゆったりしている。先週の大潮は潮流のタイミングや潮位差が気になり、ピリピリした精神状態でややとんがった感じだった。それがこの日は小潮ということもあり、メリハリのゆるい潮流が焦りを打ち消してくれている気がする。ほかの釣り人と話しをしたり釣り場を変えたりというのも、気持ちの余裕があればこそだろう。
ただ小潮だと目に見えて魚の活性が上がってくる様子は見られない。釣りの難易度は大潮よりも高いと言える。
フロートリグの彼は帰り、入れ替わりで年配の男性と若い男性の二人が連れ立ってやってきた。
見ていると二人のする釣りはアジングかメバリングか? キャストしてアクションを加え巻き取るそれは、エサ釣りでないのは確かだ。
親子のようだが連れ添って釣りだなんて、いいなあ。
僕のほうはパタパタっとメバルが釣れた。地合いだったのか、すぐに反応は途切れた。
やや陽が傾いてきた。夕まづめに期待は高まる。
もぐもぐとすやすやタイムを経て更に粘ってみるが、地合いのメバル以降、イワシが釣れただけであとは沈黙。
穏やかな小潮の釣りは、やはり夕まづめに期待するしかないようだ。
日没、親子釣り師も粘っている。僕はそろそろ限界かなあと思い始めていた。
やはり難易度の高い小潮だったかと思った時、手繰るラインが止まった。そしてぐいぐい引く。最後の最後でアジだけは裏切らなかった。
夕まづめのアジ様、来てくださいまして感謝です!(^人^;)