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F.F.雑感
其ノ五百六十五 フラットに来る者たち
みるみる空が暗くなってきた。スマホの雨雲レーダーでこうなるのは時間の問題だとわかっていたが予報より早い。レーダーにライムラグがあるのか。
一気に大粒の雨が落ち出した。僕は右岸、釣り仲間のTSさんは左岸に車を停めている。それぞれ車に避難したが、僕は間に合わずびしょ濡れ。おそらくTSさんもだろう。 レーダーの動きを見るとずっとこんなには降らないようで、雨を降らす雲はじきに遠のく筈だった。 雷も聞こえていたがそれも遠のいた。レーダーで雨雲が去るより早く辺りには日が当たり始めた。止む時も急変というか、実に呆気ない。僕と同じく右岸側で待機していたこの日初めて会ったフライマンの人と少し話をし、それぞれに分かれて川に戻った。TSさんはもう河口付近に向かっていた。さらにもう一人見える。おそらく例のよく釣る人だ。
雨と雷雲が去った後は急激な気温上昇だった。元々水辺なのだが、空気が湿気を含みまとわりつく蒸し暑さは尋常ではなかった。潮はそろそろ干潮、こうなるともう満ち上がりのチャンスしかない。僕たちはそれぞれやってくるチヌを待ち構えた。 少しするとよく釣り人がまず掛けた。やっぱり早い。続いてTSさん。おお、やるなー。しかし僕のフライにはアタリがない。魚影はちらほら見えている。そこを狙うがそのチヌ達にはやる気がなさそうだ。 また例の方が釣り、TSさんが釣る。むむ〜、これはいかん。このままずるずると釣れない時間が過ぎると焦るばかりだ。 するとまた例の方、そしてTSさん。こりゃあまずい。いやいや、相手はこの二人ではない。チヌなのだ。間違えてはいけない。
夏の午後の急変する天気。雷だけはご勘弁を〜(>▽<;)。
翌日も干潮が夕方だから、時合いの頃は徐々に薄暗くなり。
しっかりチヌの動きを見定めて、キャストする。そしてリトリーブ、食わない。甘噛みもない。
「◯×△っ!」 声が聞こえた。TSさんがこちらに来いと言う。場所を譲ってくれるようだ。 申し訳ない感じだが、TSさんの立場からしても、釣れない釣り仲間がそばにいたら気になるだろう。とりあえずTSさんのやっていた場所に入らせてもらう。いずれ恩返しはする。今は釣ろう。 ところが入らせてもらった場所から、目の前にいるはずのチヌが見えない。また例の人が釣る。僕には見えていないだけか。 前日の強い引きはボラだった。チヌが釣れずじまいで悔いが残るのでこの日もやってきたのだが、その人曰く、大潮3日目はやる気個体が少ないとのこと。
河口に着くとTSさんとKK君が来ていた。やり手がそろい、僕は勝手にプレッシャーを感じ始めていた。 全く見当違いっぽいが、同じ釣り場に何人か釣り師がいると、僕はどうしても周りの釣れ具合が気になる。
破壊的パワーのボ(ラ)ーンフィッシュ(^^;)。
圧倒的釣力を誇る方。色々技を盗まさせていただきます(^^;)
久々のまごっつぁん。相変わらず平べったい。
いるはずの場所にキャスト。何回めかで掛かった。グーッと引っ張られる。やったよ、TSさん。・・っと、フッと軽くなった。(ば、バレた〜) ここでバラすか。いや、まだチャンスはある。めげているヒマはない。
だが、満ち上がりの最初の群れの時合いは終わったっぽかった。これからは第2グループが徐々に遡上してくる。こいつらはなかなか釣れない。それでも諦めきれず僕はキャストを続けた。少しして見えている数匹がテイリングを始めた。チャンスだ。もうこいつらしかない。僕は慎重に場所を見定めてキャストした。するとグイッとフライが引ったくられた。 ついにきた。やっとだ。しかも引きが強い。僕はラインを巻き取りながら後ずさりした。だいぶ巻き取った時、急に魚が走った。巻き取ったラインが出ていく。相当の引きだ。それを3回繰り返し、やっと見えてきた魚はチヌではなかった。 翌日、僕はまたフラットに立った。この日は雷注意報も出ておらず前日のような夕立はなさそうだ。まだ潮位が高いうちから浅くなるエリアに入ってみた。チヌの姿は見えず、少しすると例のよく釣り人が入ってこられた。「魚の姿がないねー」とその人。話をしながら二人で河口へと向かった。 自分が釣れてないと尚更だ。それが焦りに繋がり落ち着いてチヌを狙えない。前日も思ったが、相手は周りの釣り仲間ではなくチヌなのだ。
まだ下げ潮で干潮まで後少し。僕は河口手前の流れの近くにいて、見るともなしに流れを見ると、数匹のチヌがいるではないか。 居残り組か、下げのうちから遡上してきた個体か。僕はフライをその鼻先を通すイメージでキャストした。 すぐドスンっときた。仲間達がチヌを探すその後方で、僕は一人チヌの引きに耐えていた。
このあとの満ち上がりの時合いでは釣れず(^^;) なんとも難しい釣りです。
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