F.F.雑感
其ノ六百六十一  春が近づく島
僕にしては珍しく決断が早かった。ラインを巻き取り荷物を持って車に戻る。
着いた時からそうだったが、寒さは気にならない。着込んでいるし風もない。
ただ焦りはある。4時半起きが無駄になる。それが堪える。なるべく気にしないように平常心で車を発進させた。
来た道を戻りすぐ手前にある港に向かう。辺りはすっかり明るくなっていた。まだ7時くらいだが、朝まづめのゴールデンタイムはとうに逃していた。
朝は1度まで下がったが、日中は二桁になる予報。風も3mくらいまで、前日が大潮の中潮。前回の釣りでブルーバックが釣れたから、メバル復活の可能性大。ここまで条件がそろったから、期待は膨らみ釣果は約束されたと思っていた。
まだ暗いうちに目当ての港に到着。誰もいない。いくら早く着いても過去には釣り人がいたこともあったからひと安心。場所を陣取りロッドを継いでラインを通しフライを結ぶ。準備完了だがまだ真っ暗。少し明るくなるまで待つべきだが、照明のある場所だしやっぱり待てないのでちょっとキャストしたら、手前の岩に引っ掛かった。暗いうちからキャストすると大抵トラブる。
糸を直し終えた頃ちょうどうっすら明るくなり始めた。キャスト開始。1投、2投、3投・・・。リトリーブするラインに手応えがない。ラインを直していた間に時合いが終わったとは思えない。今がゴールデンタイムのはず。いいサイズのメバルが潜んでいそうな場所を狙う。防波堤沿いに積んであるテトラが途切れている境目ギリギリを引いたり、水面直下に沈んだテトラの上に落とし引っかからないように引っ張ってもみた。それでもこない。これは・・・メバルがいないのだ。
カリカリは飽きた〜。焼きそばが食べたいにゃ〜(=`エ'=)
今回は中華鍋で日清焼きそば。キャベツ、ピーマン、豚肉入りで豪華(*^^*)
移動を決めた。近くにある次の港も誰もいなかった。干潮が5時で最初の港で潮は上がり始め、二番目のここでは上げ三分くらい。
すぐにキャスト。防波堤沿いや正面のかけ上がりになっている辺りを何度も引っ張るが、全く魚っ気がない。
小一時間やったがもうダメだ。移動しよう。疑心暗鬼になっていてすぐダメだと思ってしまう。
3ヶ所目は前回ブルーバックを釣った港。だいぶ時間が経ったからやりたい場所を取られているかもしれない。
ニャンコ先生〜、お、お戯れを〜(>▽<;)。
11時くらいにいつもの昼飯の場所に着いた。港では日差しもありだいぶ気温も上がっていたがこの場所は山の上にあり肌寒い。
昼飯の準備をしながらつらつらと考えた。前回の釣りで朝まづめでメバルが釣れたから、去年の1月と2月の好調が戻ったと思ったがまだなのか。全体的にメバルやアジが釣れていないと聞く。その情報で釣り人の足も鈍っているのかもしれない。
前回と今回は抱卵個体ではなかったから、いい加減メバルもよくなるんじゃないだろうか。
10時くらいになると、春のような。
3ヶ所目の港。もうすっかり明るい。
到着時、月明かりが〜・・・。 
昼飯の焼きそばを食べていると猫がやってきた。用意していたカリカリを出してやるとすぐ全部食べたので、追加したら残してどこかへ行ってしまった。カリカリは飽きたのか。
僕は焼そばを食べ終え、早起きのせいで眠気がやってきた。ベンチで横になってうとうとしていたらゴソゴソ音がする。猫が中華鍋を舐めていた。「ダメダメ」と体を起こしたらテーブルから降りてこちらを見ている。
ふと遠くの景色を見ると霞んでいて春っぽい。渓流の解禁も近い。
三番目の港のやりたい場所は空いていた。どこも釣り人が少ない。ここも先端付近に一人いるだけ。
10時近くになっていた。もう朝まづめどころか朝早めの恩恵も得られない時間だ。
初釣りの時にカサゴを釣った港でもあるから、防波堤沿いと沈んだ石積みの途切れる辺りのポイントを丁寧に探る。
反応がない。フライをケイムラのシラスパターンから#22のプランクトンに変えた。
その直後のキャスト、グゥ〜っとロッドが曲がった。
半分以上、諦めていたけど、よく釣れてくれました(^^;)