F.F.雑感
其ノ六百七十二  フラットにアキアカネ舞う
忘れた頃にバシャっと水面が弾ける。何事かと見るとチヌの魚影。すぐにそこに向かい、キャストするとバッと散ってしまう。慌てて投げるからだ。
午後2時が干潮の中潮、ややマイルドな潮だから下げでもチャンスはあるという読みは合っていた。場合によっては魚が全く見当たらない時もあるのに、今回は気配は濃厚だ。でも食わせられないのはやっぱり腕だな〜。
今度は河川側に移動。川筋の護岸の際に数匹付いているのがすぐに見えた。
朝は22度。熱帯夜にならなかったどころかかなり下回った。外に出ると空気が秋の気配をまとっている。日中はそれなりに上がりそうだが、朝が全然違う。ようやく猛暑の日々が終わるんだと思うと、なんだか感慨深い。
そしてフラットに来た訳だが、中潮の下げ、水位が膝下でちょうどいい。最初に干潟エリアで一匹見つけた。ゆっくりキャストし魚影の横に落とした。チヌは散らなかった。小刻みにリトリーブするとすぐに手繰れなくなり、合わすとグ〜ッと引き込まれた。(やった! 来てすぐとは幸先がいい)僕はリールを巻いたが、すぐに走られた。チラッと見えた魚影もかなりいいサイズっぽかった。そのまま巻いたり走られたりを繰り返し、ようやく寄せた時にふっと軽くなった。(!? バレた??)
あーっ!、バレた。ホントに? デカかったのに。キャッチしてたらあとは余裕だったのに。僕はすっかり意気消沈した。そのあと干潟エリアを魚影を探して歩き回っている時もずっとウジウジ後悔していた。もっとやりようはなかったのか?
今回もチヌを誘ってくれてお疲れ様。
干潮から満ち上がり始め、チヌはやってくるのか?
海岸沿いの木にとまっているのか蝉の鳴き声がしていた。終始晴れていたが暑さはそこまでは堪えなかった。
最初のバラしをずっと引きずっていたが、それはこの一匹できれいに吹き飛んだ。
上がる前にもう一匹釣った。これも良い型だったが、その前のが大き過ぎて控えめに見える。

車まで戻ると辺りにアキアカネが群れで飛んでいた。
フラットに秋の風が通りすぎていった。
カサッと感触。ラインとリーダーの繋ぎ目がガイドに入った。
僕は大きくため息をついた。いつまでもウジウジと。でもこれは僕の性格からして毎度のことだ。
魚影は見える。しかし食いっ気はあまりあるようには見えない。やる気ありのチヌを見つけないと、ダラダラと時間が過ぎるだけだとわかっているんだけど。
河川側から干潟エリアに入ってくる魚影。その入り口あたりにキャスト。リトリーブするとくぅ〜っとラインが張ってすぐ緩んだ。食い付きかけていたのか?
どこに隠れていたのか、アキアカネが群れ飛んでいました。
川筋の護岸に付いているチヌは護岸や底の何かをガジガジしているっぽい。
その少し上流をめがけてキャストしたが、また散らしてしまった。何をやっているんだ、もう。
それにしてもチヌはちゃんといる。ボラは少ない。逆の場合が多いのに。それは助かるのだが何があってこうなるのか。

まだ干潮前だが、ブレイク手前に上流を目指す魚影が見え始めた。その手前に落としてリトリーブ。なかなか食いついてくれない。
釣りから帰ってのサーモジョッキで晩酌もそろそろ終わりか。
干潮からの満ち上がりでのアベレージチヌさん(^^;)
ヤドカリが多い。かなり食われていそうだ。 
かなりの数のチヌの遡上が始まった。僕が立っていると警戒して遡上をやめてしまいそうなので、僕も上流側に後ずさりしながらキャストを続けた。
川の流れに乗ってスィングするフライが群れの中に流れているはず。 ・・っと、リトリーブする手が止まり一匹掛かった。小気味よく引くが大きくはない。素早くラインを手繰り寄せてネットですくう。ネット枠内の平均サイズだった。
さらに遡上は続き、僕も後ずさりしつつキャスト&リトリーブ。魚が上がってくる魚影は途切れず見えている。時折バシャっとしぶきを上げて水面でもじったりユラっと動いて背中が水面をかすめてその水紋が広がったりしている。食いっ気のないただの遡上とは明らかに違う。これならフライに食いついても良さそうなものだが、食わない時間がただ過ぎていく。
ふと、横を見ると背中丸出しのチヌがゆらゆらしていた。
(!!) 僕はゆっくりと後ずさりしそのチヌから離れ、上流に回り込んだ。まだ逃げずにいる。
チヌの上流側1mにキャスト。フライは目の前に流れているはず。
ゆっくり引くとラインが引っ張られた。少し待ちロッドで合わす。ズシっと重い感触。掛かった。重い引きがロッドを曲げる。僕はひたすらバレるなよと祈りながらリールを巻く。
何度か走られまた寄せてを繰り返し、ネットを差し出しすくった。
ずっしりしたその重さは過去に経験のないものだった。
チヌを始めて7年、初の大台に乗った一匹でした(*^^*)