2019 釣乃記
第弐拾四話  猛暑日を退けよ
細流なのに良く育ってくれました。
「夏はゲーター派ですか?」と釣具屋で店の人に聞かれた。
「ウェーダーです」と僕。
いやまあウェットウェーディングの気持ちもわかるけど。
話すうちにおそらく外は猛暑日に迫る気温になりつつあるはずだ。僕は前の日の釣りのことを思い出しながら、夏の釣りのスタイルを改めて考えたりした。

夏の釣りは感覚的には早朝有利だと思っている。何時に釣り始めるかで何時起きかが決まる。僕は頑張って五時に起きた。
流れが正面から当たるぶっつけの石の下、ここにゴギが隠れている? 上流側へキャスト、フライはスパイダーともアントともとれるパラシュート。石の手前まで流れた時、バッサッと水がかぶさった。
「よしきたっ!」イメージ通りにゴギがかかった。小気味よい引きがロッドをしならせる。キャッチしたゴギはかなり痩せていた。捕食できる餌の少なさはすぐに想像がついた。
その先の流れ、今度はアマゴが出た。ゴギとアマゴの混在の谷。なんでだかゴギの方が下流側に居るんだよな。
また一段階、暑くなった。風もないのでこうなると木陰でも暑い。湿度は低めなのだろう、汗はそんなにかかない。patagoniaのトップスの機能もかなり効いている。
スーパーケロロ先生! 町は猛暑日、避暑させてください(>▽<;)
CX-3くん、猛暑日の町へ帰ろうか。
少し痩せ気味のゴギ様。しっかり食べてくださいね。
UVカットは木々の枝葉にお任せします。
町はおそらく35度越えは必至で、だからと言って山だから涼しいという考えは通用しない。
川には7時到着。まだしのげる気温だったが、暑くなるまえに釣っておかないと。
この日はまたゴギ狙いで深い谷を選んだ。前々回がかなりの増水だったが、今回はすっかり減水していた。こうなるとこの谷も苦戦しそうだ。

今着用しているウェーダーは何年目だろうか。あちこち水漏れを修理しながら使っている。
魚の出がなくなった。朝の反応のある時間帯は終わったか。
少し早いが昼飯にした。木陰のスペース、すぐ横に滝が見える。滝の音を聞きながら食べるのも普段は味わえない。
食べたらやっぱり眠たくなった。うとうとしつつ目が覚めてまたうとうと。この時ばかりは暑さを感じない。
ようやく起きて片づけて別の区間へ。渓でも一番暑い時間帯になった。
静かな流れ。暑さだけが無音の圧力をかけてくるようだ。
ひと月くらい前から、股から水が入り始めた。かなり派手に濡れるのでさすがに修理することにした。
セメダインスーパーXをあてずっぽうで股の縫い目の広範囲に塗りまくったら、その成果があってか濡れない。ただし汗はしっかりかきそうだ。
逆にトップスはpatagoniaの薄手の長袖がいい感じだ。濡れてもすぐ乾くし、通気性もいい。

小さいゴギが釣れた。時間は刻々と過ぎていく。体感温度が上がっていくのがわかる。
スパイダーアントはかなりの好反応。
グリコの牛たま丼がウマイです。
マイナスイオンを浴びながら、極上のすやすやタイム。
帰り際、前々回インゲンとキュウリを買った高原の店にまた寄った。
「なかなか釣りは厳しかったです」と言うと、
「また通ってください」とお店の人。高原もまだまだ暑い。僕は今回はトマトを買った。

最後に入った流れ、いくつか水がたっぷりのポイントがある。そのひとつ、キャストするとゆっくりとフライをくわえた。
アマゴが水中でうねった。ここでも僕は暑さを忘れた。