2019 釣乃記
第弐拾六話  夏が終わりそうな渓
川から上がって車へ戻る道すがら、季節の変わるのを感じます。
週間天気予報を見ると、8月最終週は傘マークが並んでいるではないか。
その週の土曜日は今シーズンの渓流釣りの最後の日でもある。雨がいつまで続くか、どれだけ降るか、やきもきする最終釣行になる予感がする。
しかしまだその前に一度釣りに行く。来週の釣りは来週考えればいい。

今週もそこそこ降ったので、増水時に良くなる川へ向かう事にして、僕は高速に乗った。
川へ向かう途中、僕はふと考えた。来週かなり降ったとして、増水がひどければ釣りが出来る川はかなり限られる。それを想定するなら、来週の釣行先を決めておかなければならず、僕はこの日これから行こうとしている川がそれであると気が付いた。
(この川は来週にとっておかなければ)と思い直し、じゃあこの日はどこへ行けばいいのか? で、そう考えることもなく思いついた川は、例年ラスト釣行によく行く川だった。
7:30 到着。気温は20度。日中は上がるにしても、これは快適だ。水量はこの川としてはベストの平水やや多め。これはこっちに来て、来週分も含めて正解だったんじゃないだろうか。
県北戦隊ゴレンニャー先生! 川の様子はどうですか!(^o^;)
気持ちよく(釣り人が)プールを走り回ったヤマメ様。
良い水量。だから良く釣れる、とはいかないんだよな〜。
緊張が走る。水量の多さがポイントをより良いものに見せている。スパイダーをキャスト。一度流し切る。再びキャスト。流し切る。三度目、四度目・・・。出ない。
いつまでも同じ場所には居てくれないか。

そのあと釣り上がったが、ヤマメの新子がやたら釣れ始めた。次の世代への希望の現れだが、小さいヤマメを掛けるのは心苦しい。
僕は車に戻り、昼飯にすることにして、この川のいつもの場所へ向かった。
クモの巣は少なくなっていた。この時期の通例だが、餌になる虫が減るからか、クモそのものが減っていくためか。
キャストすると渇水では居るはずのない場所で反応がある。これは期待大だ。
浅い流れでも出た。この日一匹目、小さいが先週のきびしかった釣りを思うとありがたさが増してくる。

いつもはだらっとした広く浅い場所が、いい感じの水深のプールになっていた。
フライはスパイダーパターン。ピーコックのボディにCoq De Leonの長いファイバーをハックリングしている。
プール中央へファーストキャスト。ゆっくりヤマメが出た。僕はゆっくり合わせた。強い引きがロッドを曲げた。場所が広いから、ヤマメは文字通り縦横無尽に泳ぎ抗った。
ようやく引き寄せ、無事キャッチ。ホッと胸を撫で下ろす。

その先に、ひと月ほど前に良型を釣ったポイントがある。
もぐもぐタイムは食欲旺盛でした。
スパイダーは残ったけど、マシュマロは全部ロスト(^^;)。
涼風が吹き抜けるすやすやタイム。
昼飯を食べたら落ち着いたせいか、眠たくなってきた。もちろんそれも想定してローチェアを持ってきている。
帽子を目深にかぶり目を閉じると、蝉の鳴き声と川の流れる音と木々の枝葉が風にざわめく音が聞こえる。
今にして思えば今年は夏は短かった。梅雨入りが遅い分明けるのも遅く、盆明けにはまた雨が続いた。
来週末の天気も気になるが、今はこの風を感じながら、ひと眠りしよう。