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其ノ四百六十九 故郷の海、夏の迷走 | ||||||||||||||||||||
会社の盆連休は墓掃除のために日本海側へ行くのが、毎年の恒例行事だ。 しかし例年、高速の渋滞が凄まじい。これを回避するには出発は早朝、帰りは夕方以降、が定石となっている。 今年はそれでぎりぎり事故渋滞(あとでわかったのだが)を回避できた。 しかし、掃除自体はそんな時間がかかるものでもないので、帰りはタイミングを調整する必要があった。 |
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いろいろと勝手が違う故郷の海。 | ||||||||||||||||||||
結局最初からそのつもりだったのだが、車に釣り道具を積んできていた。掃除後、故郷の海で釣りをしてみるつもりだ。 実際、地元ではフライフィッシングは川ではやったことがあるが海はない。今回初めて地元の港でやってみようと思い立った。時間調整なのだからロッドを振る時間は真っ昼間になる。果たして釣れるのだろうか? 釣り目的で初めて訪れる港。防波堤はただただ暑く、誰もいない。突端まで歩き海を覗くとなんだか浅そうだ。僕が良く行く瀬戸内の島の港は先端まで行くとどん深だ。地形も日本海沿岸と瀬戸内とではだいぶ違うようだ。 |
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防波堤突端でキャストしていると、湾の対岸の防波堤からウェットスーツのふたりがシュノーケリングでこちらに泳いできた。 どうやら貝を取っているようだ。僕が釣りをするところに躊躇なく泳いで入ってきた。 僕は仕方なく少し移動した。海からの侵入者で移動を余儀なくされたのは初めてだ。 すぐに魚信があった。掛からない。少し沖を数匹の魚がかたまって高速で泳ぎ去るのが見えた。カマスだ。今の魚信もきっとそうだ。 続けてキャストするとカクンとロッドが引き込まれた。なんとも小さいカマスが掛かっていた。 カマスは回遊しているはずだから、広く探ってカマスの方にフライを見つけてもらうしかない。 と、岸から親子連れが防波堤をこちらに歩いてやってきた。僕の立つ更に先端の灯台のところからお父さんの方がいきなり海に飛び込んだ。 僕は呆気にとられた。釣り禁止ではないが、どうやら夏は海水浴優先がローカルルールのようだ。 |
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エンピツみたいなカマス様。即リリース(^^;) | ||||||||||||||||||||
僕がこの町を離れて瀬戸内側で暮らし始めてから30年以上が経つ。その期間は年齢の半分以上になり、生まれたこの町で過ごした年月は追い抜かれた形だ。すでに生活しておらず長さも抜かれたのだから、僕はこの町の地元民ではなくなったのだな。見慣れない人間が見慣れない道具でみんながいつも泳ぐ場所で釣りをしているのは、地元の人からすれば異物にしか映らないのかも知れない。 湾の反対側の防波堤へ移動した。ここでは今は誰も泳いでいない。海底が見える。でかいボラが数匹かたまって泳いでいた。キャストしても散るだけだった。 そろそろ暑さに耐えるのも限界が近づいてきた。僕はフライを小さくし、ティペットも6Xにしてみた。 |
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ドンっ! プチっ!! スゴいアタック、秒殺で切られた。かなり大型か。 フライを小さく糸を細くすれば確かに反応は格段に上がる。しかしコレでは大型は取れないな。 フライを少し大きくティペットも5Xに戻した。リトリーブについてくる魚はいるが食いつかない。でも時間帯か季節を変えればいけそうだ。 僕は首が焼けて痛みを感じたのを機に納竿した。僕がここに住んでいた頃はなかった風風らーめんを食べて帰ろう。 |
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墓掃除帰省の恒例、風風らーめん。これが最大のたのしみ(*^^*) | ||||||||||||||||||||