2020 釣乃記
第拾話  渇水と花々と不本意な昼飯
いかにも獣道っぽい。ごっそり草がなぎ倒された場所。去年クマを見た所だった。
僕は予定通りスマホの音楽アプリを起動した。スマホのスピーカーでどれほどの効果があるかだが、最大音量であいみょんをかける。実際一番あいみょんがよく聞こえるのは僕自信だ。

鬱蒼とした見通しの効かない区間はあっさり通過した。一度の反応もないし、ヤマメが潜んでいそうなポイントも激減していたからだ。
期待のポイントはことごとく沈黙。なによりも減水し過ぎて流れに生気を感じない。見た事無い沈み石が露出している所もあった。たまにピチャッと出るが、合わせたところで掛かるはずもなく。次々とポイントが空振りに終わるので、徐々に焦りが勝ってクマのことなど気にならなくなってきた。朝から始めたが、そろそろ昼が近くなってきた。結構歩いたので腹も減ってきた。

ヒットしたキャンプの漫画を最近アニメで見たので、キャンプではないにしろ昼休憩のご飯とローチェアでの昼寝(ミニデイキャンプ?)をかなり楽しみに来ていた。ただし、釣りに来ているのだから、釣果あっての昼休憩。ロクに釣れてなかったら、気分良く休んでいる場合ではなくなる。昼までに納得の一匹を釣りたかった。
花は咲き、蝶が飛ぶ。夏を迎える準備。
流れに活気がない。それは釣り人にも伝染する。
この川でライズの期待できるプールを目指した。プールと言えども水位は下がっていようし、条件は悪い。
プールは静かだった。流れの筋を見ているとピチャッとライズした。少し待つとまたライズ。
この時間になったから始まったのかも知れない。
ライズの筋の少し上流側の波立っている所にキャストした。
と、いきなり出た。ライズの魚ではない。僕はライズが止むのを承知でこいつを取り込むためにプールに向けて踏み出した。
草むらでマムシ草を見るとドキッとします。
週末自粛解除で先々週は本流、先週は細流を釣り歩き、この週末は中国五県の県またぎ移動も緩和された。
県境を越えた西の川でGWに釣りたかったが時期を逸していた。雨もしばらく降っていなかったが、その西の川へ向かうことにした。
期待できるポイントは七ヶ所。渇水であってもどれかでなんとか釣れるだろうという読み。
しかし川の渇水度合いは僕の予想以上に深刻だった。
最後の最後でヤマメ様。コンディションも良好です。
春先によく来るこの川は、桜の時期を最後に来ていない。
桜の終わった里はあちこちに初夏の花々が咲いていて目を引いた。
薮の緑も色や密集度ともに濃くなり、キャストも入脱渓も困難を極める。クモの巣も増え始めていた。
目当てのポイントの最後、手前から魚が走って終了。フライに出た魚はいなかった。
土手から道路に向かう途中、マムシ草が存在感たっぷりに顔を出していた。
もうこの川に有望ポイントはなく、山越えで別水系へ行くしかなかった。
しかしさすがにバテた。昼までに納得の一匹をと思っていたが、不本意ながら釣果がないまま昼休憩にする事にした。
移動した先の河原で昼飯を食べて少し転た寝。無風でやや暑くあまり眠れない。それでもいくらかリフレッシュできた気がする。時刻は15時を回っていた。
最初の川よりは減水がひどくない。山の状態で差があるのかも知れない。
水辺のすやすやタイムも無風だとちと暑い。
川沿いは白い花が目立つ。大葉麻殻かな。
華やかだけど、特定外来生物指定のもののようです(^^;)
今シーズン初カレー。中村屋はウマイ。
花びらのような黄色のカゲロウ。