2020 釣乃記
第七話  桜の里に惑う -弐-
釣りのデータの蓄積はあとあと役に立ち、去年の今ごろはあそこが良かったとかあの場所なら次の週末が良くなるはず、と言う感じで次の釣りの行き先を決める大事な情報源になる。
この場合は過去の良い釣りをしたデータがより重要視されることになるが、その良い釣りの一番最初はどうだったんだ?
例によって忘備録の本HPを見返して思うに、一番最初は勘でその時その場所に入渓しているようだ。そっちの方がすごいな。
支流に潜り込むにしても近くに手ごろな支流が思いつかない。ふとひとつの支流がひらめいた。そこでの過去の快釣ポイントは・・・、かなり上流だ。どうするか、実績ポイントにするか勘を働かせるか。この日の僕の頭は寒さもあって回転は良くなさそうだ。勘はやめて実績ポイントの上流域へ行く事にした。
この本流筋にしてもこれから行く上流域にしても、去年よりは赴く時期が少し早い。しかし、今年幸運に恵まれた良型ヤマメを釣った場所は、やはり去年より早く入った。その結果の釣果。今年は暖冬だったし、少し早めが吉、との読みもあった。

支流との合流点を上流へ向かう。合流点の集落は丁度桜が満開だ。前回の川も満開だった。ここは一週間分季節が遅れるほどの山の中の集落ということか。満開の並木だが、特別花見をしている人たちの姿は見えなかった。
トビイロカゲロウが飛び始める頃、寒の戻り。
広々として寒々としている。こりゃ釣れんわ。
チビばかり釣っててもなんだかアレなので、先に進んだ。
広めで深めの場所でライズしていた。しかも数ヶ所同時に。
つけている大振りのフライをそのまま投げたらすぐに出た。やっぱり小さい。
(四月に入ってからまた漁協が魚を入れた?)という気がした。計ったように同じサイズだったからだ。
古い堰堤下。ここも複数のライズ。何匹かは多少サイズアップしたが、満足できない。
更にはその良い釣り経験を辿って翌年翌々年と同じ時期に通って、また良型を釣れるかと言うとそうであったりなかったりする。
結局は自然相手のことで、毎年同じようにはなかなかいかないということか。釣れなくなったポイントもいくつも見てきた。

で、この日は去年良型を釣った大場所を狙う。時期は去年より一週間早い。そしてこの日は寒の戻りで寒かった。
サビの残るヤマメ。これから魚体を磨いてくださいね。
カゲロウさんが、「これ、ちょっと違うなあ」とおっしゃってます(>▽<;)
三箇所を釣りめぐったが、どのポイントも去年の快釣よもう一度、とはいかなかった。
去年のこれらのポイントでの釣りは好天で暑いくらいだったはず。少なくともこの日みたいに薄ら寒い日でなかったことは確かだった。
それでも魚が居ればなんらかの反応がありそうなものだが、それもない。去年とは環境のなにかが変わって居着かなくなったのか? さて、アテが外れた。どうするか?
本流ではウグイが・・・(^^;)
この桜の下のライズは見なくなって久しい。
小さいけど一丁前にライズしてました。
上流域の狙いはゴギだった。四月のゴギはこのポイントで釣った時以来かもしれない。
ポイントは水量は十分、ゴギの潜みそうなえぐれも以前と変わっていない。
慎重にキャスト、手前過ぎ。思い切って奥へ。どんぴしゃり。出ない。粘ったが出なかった。

その支流の中流域、梅雨に絡んだ時期に入る流れに入ってみた。すぐにチビヤマメが出た。出る出る、いくらでも出る。
支流の中流域から戻る形で更に下った。
(あ、ここがあったなあ)途中の流れを見て思い出した。数年前にまあまあの型を釣った場所だった。
ダメ元でやってみた。緩い流れにフライを落とすと水底からふわ〜っと魚が上がってきてくわえた。合わすとぐぐーんと潜り込んだ。これなら満足できる。

冷たい雨が降り出し、帰る道中の桜は寒さで縮こまっているように見えた。
満開の桜を見れて、気持ちはなんだかほっこりしました(*^^*)