其ノ四百九十六  アームチェアフィッシングのあれこれ
長きに渡った休みも残りわずかになった。
カレンダーを見返すと、どの日になにをしたかとか、ほぼわからなくなっている。休みも十六日間ともなるとそんなものだ。
僕の場合は途中二日ほど出社したので、またマシな方かも知れない。
こんな事態にならなくても、釣りに行かない休日は本を読むことが多い。今回はたっぷり時間があったが、完全な読了は二冊位になりそうだ。
チェアもサイドテーブルもキャンプ用のを部屋で。
その二冊は湯川豊さんの「約束の川」と、坂東幸成さんの「Life Is Fly Fishing Season2」。湯川さんの本は随分前に友人から教えてもらった「イワナの夏」以来、新刊が出る度に入手し読んでいる。今回のは三月中旬に発売されたものだった。柔らかく情感豊かに釣りの情景が表されていて、読む度にすっかり本の中の釣りに入り込んでしまう。
坂東幸成さんの本は数冊を平行して読んでいて、「Life Is〜」かほかの本かどれかが読み終えるだろうという段階だ。洒落た文調で引き込まれるように読み入ってしまう。
今年になってからだと、フライの雑誌やクマの本、村田久さんの本と、僕にしては珍しくテンポの良く読み進んでいる。
アームチェア〜と言いつつ、ずっと家に引きこもるのは良くない。
連休中開いている釣具屋をちょっと覗こうかと出掛けたら店に行く手前で釣具屋常連のHさんにばったり会った。
同じく店の常連の方がやっているお好み焼き屋さんへ行くと言うので、いっしょに歩いて行く事にした。

県の飲食店への協力要請は、適切な感染防止対策と営業時間短縮などだった。
野菜ダブルで超ボリューミー!
実際のところ客足は遠のいているだろうから、経営的には苦しいはずだ。店はテイクアウトもやっているが、店に行って食べることで少しでも協力になるだろうと思ったし、たまたま都合よく昼飯を食べていなかった。
Hさんと同じものを注文したらかなりボリュームのあるお好み焼きが出てきた。多く見えるのは野菜がダブルなのでなんとか食べれるだろう。うまいし。釣りの話やらあれこれ話しをしつつ、僕はHさんよりだいぶ遅れて完食した。
それにしても飲食業界もかなり大変なはずだ。各要請が解除される日がきたとしても、客足がすぐに元の通りになる訳ではないだろうし。

別の日にはmaekawacraftにおじゃました。M川氏も釣りは自粛中で、工房へは朝早くから出てごそごそやっているそうだ。
最近力を入れておられる和竹のマルチピースロッドの話しを聞いたり、まだ桜の咲いていた頃に行った釣りの話しをしていると、さすがにうずうずしてくる。
この日はうらめしくなるほどの気持ちのいい快晴だった。

連休中に満月の夜があり、五月の満月をフラワームーンと呼ばれると知った。
窓から見える月を肴にビールを飲んだ。こんな些細な事でも贅沢に思える。
五月の満月、フラワームーンを肴に飲んでます。
長い休みもいよいよ終わろうかという段になった。最後の日は日中はレーダーにも映らない霧雨が降り続いた。
時間はたっぷりあったからもっとあれこれできたんじゃないかとも思うが、休みに入ってから考え始めても難しい。

霧雨はまだ降り続き、僕はローチェアに座って見るともなしに外を見ていた。
外の木々は霧雨に濡れて緑の色をより濃くしていた。
今年になってから読了した本たち。気分は彼方の渓へ(^^;)