2020 釣乃記
第拾弐話  増水したら出掛けます
時差勤務が続き、平日に釣具屋へ行くついでがあった。
店には常連のNさんが来ていて「今はメバルがいいんじゃない?」と言ってきた。
そうなんだよなあ。六月はメバルのハイシーズン。渓流解禁後も一度だけ行ったが小さいのしか釣れなかった。
しかし今週はやはり渓流に行く。またかなりの雨が降ったからだ。問題は行くのを土曜日にするか日曜日にするか。増水が落ち着くのは日曜日の方ではないかとNさんも言っていた。
大振りのCDCのドライフライにパウダーのフロータントをこれでもかとまぶす。そしてキャスト。フライが着水しメンディングするより先にフライは一瞬で流れに引っ張られる。最初からカーブキャスト気味でもう一度。今度はフライが対岸の緩流帯に留まっているのが数秒もちこたえられた。と、ヌルッとフライに魚体がおおいかぶさった。合わすが空振り。居るじゃないか。
フラットが途切れるまで同じようにやってみたが、反応は一度のみ。この先は少し荒い瀬があり、その先にもう一回フラット区間があるはずだ。だが手前の瀬は増水でけたたましく荒れている。水際は通せないので、アシの密集した河原を強行突破するしか進む方法はない。増水で下流方向に倒れ癖のついたアシに対して上流方向へ向かうのは、アシが真っ直ぐ生えている時よりさらに進みづらい。まるで修業だ。
コロッケニャンコ先生! 今年も釣りの前にお顔を見る時期になりました。
普段は足首くらいの川がひざ上に!
クリアな流れの流心の底からヤマメが浮かんできた。こちら側の岸際に寄せてキャッチ。
ヤマメに見惚れながら、ほかの場所は濁流なのにここだけこんな釣りができる事になんだか現実味がない気がしてきた。
僕は幅広のヤマメを流れに戻し少し移動してキャストした。また出た。今度もズシっと重い。
その重さは明らかに現実のものだった。
水中にヤマメが現れ、またもや幅広の魚体にくっきりとパーマークが見えた。
ここ数年釣った中で一番の幅広かも。
(これは無理だ〜)狙っていた流れは増水で白く泡だっていた。ここに来る前の場所もダメで、しかしプールはそれなりに水中も見れる状況だったので、キャストするとチビヤマメが一匹だけ釣れた。
さらに上流へ行くしかないかと思ったが、この区間は少し先にフラットな流れがあったのを思い出した。
普段はヤマメの居ない浅い流れは増水しても居ない、の法則も経験しているが、ひょっとしたらと思った。
どれも幅広のナイスコンディション。災害のない適度な増水なら歓迎です。
迷った揚げ句、結局僕は土曜日を選んだ。どう見ても正解は日曜日だったろう。しかし来てしまったからにはなんとしても釣りができそうな場所を探して釣るしかない。

フラットな流れはそのままに、水面が4,50cm上がっているという状況だった。フラットとは言え流心はかなり流れが早い。狙うなら岸際だ。こちら側は僕が立っているので、必然的に向こう岸を狙う事になる。
距離は届くがドラグ回避をどうするかだ。
まとまった雨で空気が入れ替わりかなり涼しいのに、アシ原強行で汗をかきかなり消耗した。
ふた区間目のフラットになんとか辿り着いた。最初の所と同様にくるぶしくらいの水位がひざ上までになっている。
同じように流心を挟んで対岸の岸際にキャスト。ボソっと小さく出た。合わすと重い!
川の中央まで引きずり出すと、流れの勢いも加わり更に重い。
このまま寄せるとイトが切れなくても魚の唇が切れるかも知れない。僕は自ら下ってラインを手繰った。
土手からだと降りれないんだよな〜。昔だったら飛び降りてた(>▽<;)
もぐもぐタイムフルコース。篝とグリコ牛丼。
ダブルケロロ先生。お騒がせしております。
増水釣行のあとは、川沿いの木陰で極上のすやすやタイム。