2020 釣乃記
第拾四話  増水頼みで大丈夫?
前回の釣りの翌週、僕はまた増水の川へ向かった。前々回から前回で、一段階水位は落ち着いていて、その時もさらにもう一段階水位は落ちていた。
それでも平水よりはだいぶ水位は高いのだが、結果は思わしくなかった。

そしてさらに翌週の今回、前の週の思わしくない時よりは水は多い。入ってすぐのガンガンの流れで中の小型が釣れたので、これなら今回はイケそうだと期待を膨らませた。
去年までも増水したらあそこ、と言うように決めていた場所はあった。水位が高くなると期待が持てる場所。だがほとんどがゴギ域のような上流だった。今年は梅雨が長引き、降り過ぎと思えるくらいの雨が続いている。
それこそ去年までだったら雨が続くと増水を予想し、週末降らなくても釣りは断念したり海にメバルを釣りに行ったりしていた。今年は雨で増水しているとわかっていても執拗なまでに川へ向かっているのは、件の増水で良い思いをしたフラットを見つけたからに他ならない。それが僕自身が釣りづらくさせてしまったとなると、こりゃあ本末転倒だ。
僕は車で帰る方向、川の下流へ向けて走り出した。釣り可能なポイントはないかとちらちらと川を見るが、いつ対向車が来るか分からないので本当にチラッとしか見ない。
朝イチ、増水の流れから飛び出したヤマメ様。ご苦労様です(^^;)
何年ぶりかの袋麺とボンどんぶりの親子どん。
車の離合帯があったので停めて川を覗いた。川筋の道は狭いから、結局は車の停められる場所がないとその周辺での釣りもない。
少し歩くとすぐに降りれて、その先に濁流脇に緩い流れがあるのを見つけた。ワンポイントだ。ロッドを持って降り、そこへキャスト。一発で出たが空振りしてしまった。もう出ない。
車で少し移動。また離合帯、そしてまた緩い流れ。けっこうあるな。しかしここでもしくじった。増水時は水面の捕食がむつかしいようだ。
今までの増水の時に良型を何度か釣っているフラットの流れに着いた。
もやが水面を覆っている。と、先の流れで小さいがライズした。小さいのはパスだ。僕はその先へキャストした。

道路へ上がると川筋や山に掛かっていたもやは消えていた。少しづつ気温が上がってきているのがわかった。
車へ戻る足取りが重い。増水の流れを脱渓場所まで遡って、かなり消耗したようだ。
増水になったら釣りやすくなる、ヤマメはいねがぁ〜?(^0^;)
もぐもぐタイムのあとは、もう至極当たり前のようにすやすやタイムに突入。
ほぼお昼。僕は昼ごはんをとることに決めた。定刻通りに昼飯なんて滅多にない。
今回、久しぶりに釣りの昼のメニューに袋麺を復活させた。何回か前から持ってきているアルコールストーブのメーカーのクッカーをセールで手に入れたのがきっかけだ。
届いた時は予想以上に小さく袋麺が作れるだろうかといささか不安だったが、やってみたらできた。絶妙のサイズ感。ただストーブの方が途中でガス欠。燃料の入れ方に問題があったかもしれない。
水辺で食べるだけでカロリーも抑えられる・・訳ないか。
上流からもやが流れとともにおりてくる。
吹きこぼれもせず、いい感じです。ここまでは。
期待のフラットではなんと一度の反応もなかった。ここを増水時にやるのは四回目になるが、やはり僕がスレさせたのか?
それもあってすっかり消耗した僕は、早々と昼飯にした訳だ。こうなると増水時に良型を釣った回のイメージが逆に強調されて、このままでは帰れないと余計な重圧を背負ってしまう。
しっかり休憩をとり、残り時間でどこをやるか頭を巡らす。増水時にいい場所を最初からわかっている訳ではないので、こうなったら探すしかないか。
また移動、川幅の広い所が目に止まった。例のフラットに似ている。離合帯もある。僕はここがラストチャンスとばかりに川へ降りた。 おそらく広い川原が増水で沈んで、フラットのようになっているようだ。
きっとここも平水時はちょろちょろの流れなんだろうなあ。ここ何回か、増水頼りに釣りに来ているが、水が引いたら僕に釣れる魚はいるのだろうか。
ぼんやりそんな事を考えている僕の目の端に、フライをくわえるヤマメが映った。
やっぱり増水と幅広には相関関係があるようです。