2020 釣乃記
第参話  三週目のイレギュラー
バテました。もう少し楽に釣りがしたいな〜(>▽<;)
(おお〜、多い)あまり意識していなかったが山のほうでも雨はだいぶ降っていたようだ。
この日で今年の渓流は三回目だが、来る度に水位が上がってきている。気温もじんわりと冬に向かっているような。
寒の戻りはこの時期珍しくはないが、増水も加わればけっこうやる気を削がれる。
三回目にしてようやく本流を覗いてみようとやって来た場所はどうにも釣りになりそうにない。僕はまずは定番の支流で釣っておくか、と踵を返した。
本流が増水だったとは言え、この川にやってきた最大の目的、去年合わせ切れしたポイントの小プールが現れた。時期的にまだ早い気もするが年越しの(あるいは去年合わせ切れした)ヤマメが潜んでいると期待していた。
ハッチに後押しされてドライフライ。手前で小さいのが一匹、すぐに取り込み下流へリリース。もうちょっと奥へキャスト。平常心平常心、去年の合わせ切れだけはしないと意識し続けた。
目印のオレンジにぼぅわ〜っとなにか覆い被さった。僕はゆっくり合わせた。ゴッツっという感触、そしてピンっと弾かれた。
里の川土手は春のようでありそうでないようであり(^^;)
この流れを歩けば脚力は鍛えられます。
春浅い水の中から跳び出した!
「はあ!?」なにが起こったか一瞬わからなかった。目にはうっすらピンクがかった大きな魚体が残った。
(フッキングしなかった? 弱過ぎた?)そんなバカな。僕はへなへなとその場にしゃがみこんだ。フッキングが弱過ぎたということはなかったと思う。まるでフッキングのイレギュラーだな。溜息しか出なかった。

昼ご飯を食べ、すぐに次のポイントへ。まだ虫が飛んでいるうちに。
一投で出た。ライズはなかったが、良い反応。と思ったら水中でぐりぐり動いてバレた。
そこまで大きくなかったが、慎重さが足りない。
二投目でまた出た。水中ぐりぐり。今度はキャッチ。小さいが今シーズンで一番のサイズかも知れない。
三投目、今度は出ないかと手前まで流れた時、ボソッと出た。合わすが手前過ぎてフッキングできず、フライを吐き出し逃げていった。けっこう良いサイズだった。慎重さが足りん。
ややサイズアップ・・・ホント、やや。
こんなに寒いとわかってた訳じゃないけど、あったまるカップ二品。
もうすぐ山の稜線に日が沈む。最後に一箇所、割りと道路から近い、ライズしそうな場所へ。
ポイントは虫が水面を滑走していた。ガガンボか? 僕は最近巻いたガガンボフライを結びキャストした。
その先でライズした。イケる?
そこへキャスト。今度は手前でライズ。手前へ。反応なし。
ガガンボじゃない。僕はフライサイズを落としてキャストした。出ない。またライズ。
僕は薄暗くなりフライが見えなくなるまでキャストを続けた。
僕は目当ての入渓場所近くに車があるのを見て、そこをスルーした。ああ、先を越された。本流を覗いた時間が明暗を分けたか。更に上流へ。なんだか一回目の釣行と同じパターンになってきた。川も同じところだし。

そう言えば一回目の釣行で、なんだか釣りが楽しく感じられないと思ったのを思い出した。
そのことをずっと引きずっている訳ではない。なによりも二回目、三回目と釣りにやってきているではないか。
厳しい時期に意欲的に川へ向かうパワーは減少気味なのは否定しない。しかし徐々に状況が良くなってくれば、やる気も沸いてくるし元気になる。
ただ今回の釣りは状況に関してはちょっと目論みが外れた。

上流域も水が多く、またまた遡行に体力を奪われる。
何匹か小さいヤマメを釣ったあと、カゲロウの飛翔が目立ち始めた。
ライズがあるか? と期待したが水面に気配はなかった。