2022 釣乃記
第拾弍話  本流の動機と潮流
カバンの中を探すとインナー用のベストが出てきた。これを着るだけでもだいぶ違う。
風が強いのは予報通りだが、こんなに気温が低いとは思わなかった。あるものを全部着て僕は川に降りた。
吹き付ける強風、それが体を震えさせるほど冷たい。まるで解禁直後のような寒々とした様子だ。
風の止み間を待ってキャスト。そして次の止み間を待ってまたキャスト。それを繰り返す。
キャストしながら、土手の車のあたりを振り返る。KK君がやってくる気がしていた。
少し前の釣行で、川から離れた河原でコケてしまった。なんとか体は大丈夫だったが、リールが変形、回転不良になった。
コケたことで危機意識が上がり、懸案事項だったウェーディングの安全性を高めるため、ウェーディングスタッフの入手に至ることとなった。時を同じくして釣り仲間でもスタッフを入手する人が現れた。
スタッフ入手の後の前回のKK君との釣りだった。スタッフなしでは遡行はほぼ無理だ。それに3点支持の安定感を改めて認識することになった。間違いなくスタッフのありなしと本流の釣果は直結している。
そして、リールもスプールの変形箇所を特定し、タオル越しにポンププライヤーで挟んでじわーっと曲げ直してなんとか修正することができた。渓流用リールとしては初めて買ったリールだっただけに直ってよかった。今季、本流アマゴを釣ったのもこのリールだったから尚更だ。
本格導入のウェーディングスタッフと復活したりール。
木陰のランチ会場。快適なので釣り仲間との話も長くなるはずだわ(^o^;)
朝の釣りの時。
KK君コースをやっていると、不意に風が弱まり陽も差してきた。
濁りはあるが、陽が差すとヤマメが水中から水面のフライを見つけやすいように思えた。
広い流れに点在する石の陰の向こうにフライを流した。すると流れのヨレに飲み込まれたようにフライが消え、合わすとごっつんと重さがロッドにのし掛かった。
(KK君、きたよっ!)と僕は声に出して叫び、土手を振り返ったが、引きの強さにすぐにヤマメに向き直った。
前回釣り仲間のKK君に教えてもらった場所。その時は案内してもらったのに釣ることができずにいた。
なんとかここで一匹釣りたいと、この日の入渓は決めていた。
前日と前々日に雨が降っていたので、やや水位は上がっていたし、田おこしの濁りも入っていた。

前回の釣りからウェーディングスタッフを持ってきている。前回もこの日も思ったが、スタッフなしでは本流は安全に釣りはできないと痛感した。
本流背っぱりヤマメさん。グラマラスボディです〜(*^^*)
午前中の釣りを終え、川近くの公園で昼ごはんを食べていたら予想的中でKK君からメッセージがきた。
すぐKK君がやってきた。やはり朝から僕の車を見つけていたという。
彼はすでに良型本流ヤマメを手にしていた。さすがだ。

木陰のテーブル席で心地よい風も吹き、快適すぎて片付け難い雰囲気も手伝い、僕たちは話し込むばかりですっかり落ち着いてしまった。
こちらは緑のカゲロウ、ではなくトビケラさん(^^;)。
ウェーディングスタッフなしでは遡行はできません(>▽<;)。
緑色に磨きをかけたケロロ先生n('〜')n 
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何がきっかけで本流に入れ込むようになったんだっけ? と僕は思った。う〜ん、とっかかりは忘れてしまった。
もちろん釣魚の素晴らしさがあるのは間違いない。それに加え本流を狙い続ける釣り仲間たちの釣りにも大いに刺激された事もある。

六月になれば鮎が始まるし、季節の進行を考えても本流は終わりだろう。
残り僅かな本流のチャンスを逃すまいと奔走する釣り仲間たち。
僕も負けじと奮起してしまった。
昼飯後の本流の瀬をKK君と釣り上がる。デカワムツ釣れました(^^;)