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2022 釣乃記
第捌話 その支流の渇水
週の中頃に雨が降った。しばらく降っていなかったので、文字通り恵みの雨だ。
木の芽時の今のことだから、川の水は減っているはず。週末は良くなりそうだぞと、僕は期待した。 そしてその週末、仕事でバタバタしている時期なのもあり睡眠時間短めではあるが、早くに起きて山へ向かった。 最初に向かった場所で僕は目を疑った。水が・・・ないわけではないが、すっごく少ない。 週中の雨は恵みにもならなかったのか。 そのポイントで一匹でたがバレてしまった。次の場所へ移動したが、先行者あり。さらにその次へ。
釣り人はおらず、川へ降りる。その場所は思ったほど渇水のようには見えなかった。上流にプールがあるから、そこがワンクッションのバッファの役割を果たし、水量があまり変わっていないようだ。きっと増水時もバッファがオーバーフローしない限りはあまり水量は変わらないのだろう。ただ水量はそうでも雨があまり降っていない状況では、影響はあるような気がした。そして思った通りその場所でも全く反応はなかった。 車を停めた所に戻ると、別の車が近くに停まっていた。釣り師だった。僕が会釈をするとその人も頭を下げ、「釣れましたか?」と釣り師のお決まりの言葉が発せられた。 「釣れませんねー。水が少ないですわ」と僕が言い、少しの時間あれこれ話をした。ルアーと餌釣りをするその人は、この辺りの良さそうな川をいくつか教えてくれた。流石に知らない川の名前は出てこなかったが、その中のひとつはその人が先ほどまで居て、そこでライズしていたと言う。その人がやってみても釣れなかったらしい。僕はお礼を言い車に乗り込んだ。 道の駅ニャンコ先生! 暑くも寒くもない良い季節になってきましたね(*^^*)。
流れ込み+プールがヤマメがよく育つ条件かも。
目が覚めスマホの時刻を見て僕は渇水の川を見た時同様、また目を疑った。1時間半経っていた。
僕は急いで片付けて山越えの別水系の本流へ向かった。今からなら日没までには着くだろう。 先週の本流の魚を釣った場所とは違うポイントを狙っている。 しかし、あの魚を釣ってまだ一週間。その余韻に浸るでもなくもう次の本流魚を狙うのは早すぎだろうか? でも本流の良い時期は短い。気になるなら行くべきだ。 ポイントに着くと、大型のカゲロウの群飛がが空を覆っていた。 知っている場所であっても、ライズしていた、していない、は全く別次元の重要な情報だ。
その人が攻めたあとでもライズがまだあればきっと釣れる。 その場所に着いて川を見ると情報のプールは渇水でもそれなりに水はあり、流れ込みの筋で左右に分断されている。その向こう側と手前側でそれぞれライズしていた。 これはもう感謝しかない。小さなカゲロウのハッチは確認できる。僕は小振りなフライを結び手前側のライズの辺りにキャストした。一投で出た。
オオマダラ、そしてモンカゲロウも登場。
小さいがライズを獲るのは気分がいい。しかしその一匹を釣った後はパッタリとライズが止まってしまった。
ひょっとしたらこの日はここしかチャンスはないかも知れない。 僕は慎重に手前側の緩流帯と流れの境目辺りにフライを落とした。 出た! 合わせたが思った以上にラインがたるんでいた。でもなんとかフッキングできている。 プールの広い場所だからヤマメの引きが増幅されて強い。渇水にしては上出来のヤマメがネットに入った。 おびただしい数のオオマダラのスピナー。
鮮やかな新緑と見た目は平水の川。
チキンラーメンならアルストで燃料追加なしで完成。
場所を移動し、昼飯にした。この日は夕方前に本流をのぞこうと思っていた。時間は余裕がある。
昼飯を食べ、チェアに座ってぼーっとしていると、やっぱり一週間前の本流アマゴを釣った光景が思い出される。 フッキングした時の重さ、ファイトの手応え、ネットですくった安堵感。本当によく釣ったな。 この日の支流は渇水だとは思わずに来た。支流の良い場所もやっておきたかったから、もうひと雨降ったらまた来よう。 寝不足のせいもあって、僕はいつの間にか眠りに落ちた。
1時間半すやすやタイム。そんなにか〜(>▽<;)
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