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2022 釣乃記
第漆話 オオマダラ さんざめく川
陰になっている山の斜面を背景にぱたぱたと頼りなげに飛ぶ姿は、陽の光を透過してクリーム色っぽく見え、遠目にもカゲロウとわかる。オオマダラカゲロウだ。流れの上を飛ぶ姿はかなり存在感がある。水中のヤマメ達にもさぞかし魅力的に見えていることだろう。
この日の本流は風が強く、一番ひどい時は海並みの暴風だった。 そしてその風に吹き飛ばされているのか、自力で飛んでいるのか、カゲロウが風下から次々とやってくる。 前回の釣りの時に、ほかの釣り仲間の本流の釣果が気になることや自分のあくなき欲が尽きないことに、なんだか余裕がないというか振り回されているように感じた。楽しみのはずの釣りが楽しくなくなるのはマズイ。
取り敢えず本流でヤマメを釣ったことで、その釣りが楽しくなくなるような危機感は若干和らいだ。そのあと少し見て回ったが魚の気配はなく、僕は忘れていたオオマダラが飛んでいるのに気づいて、それを眺めていた。。 またオオマダラが飛んでいた。今がハッチの時期としてはピークなのだろう。ただ、単発で一回見たら、次はしばらく間が空いてからまた飛ぶ、という具合だ。 僕は暴風の本流の翌日も釣りに来た。先週、二回だけライズした場所で、またライズしないかと期待しての釣行だった。 ばちゃっと音! ライズした。僕はすぐにそこへキャスト。 フライとティペットは前日の成功例に習って、#18 と 7X にしている。 流したが反応はなかった。ちょっとドラグがかかっていたかも。 僕は岸に戻って石に腰を下ろしライズを待った。 圧倒的存在感のオオマダラカゲロウ。
初の本流ライズを仕留めました(^o^)/
いいところを流れていると思う。と、フライの辺りで水しぶき。僕はロッドをあおった。ドンっと重い手応え(か、掛かったっ!)
強い引きがロッドを曲げた。魚が寄らない。心臓が高鳴る。 (切れるなよ、バレるなよ)僕は祈りながら強い引きに耐えた。 ようやく寄ってきた。僕は迷わず魚をすくった。ネットにずしっと重さが乗った。 僕は大きく息をはいた。そしておにぎり弁当を石の上に置いたままなのを思い出した。 また、オオマダラがぱたぱたと飛んでいった。 僕はサイズを合わせたスペントパターンを結んで準備完了。あとはライズを待つだけだ。
水面に落ちたオオマダラが帆掛け船のようにウィングを立てて流れ過ぎていく。 しかし、ライズがない。ハッチはオオマダラだけではなく、小さいカゲロウも混じっている。いろんな虫が流下しているにもかかわらずライズがないということは、おそらくここには魚がいないということなのだろう。 僕は吹き続ける暴風にも辟易して場所を変えることにした。
大場所の本流での釣りが続くと、支流の釣りが恋しくなったりもする。
どうするか? 腹も減ってきた。車に戻りやすい場所まではこのまま釣り上がることにした。
すると、前方に中くらいのプールが見えてきた。てれ〜っとした流れなので、なんだか釣れそうにない。・・・、と、ライズした! 僕はすぐキャストの体制に入ったが、ちょっと待てよ。 ここはフライとティペットを変えよう。フライは#18、ティペットは7Xにした。 そしてゆるい流れのライズ場所へキャスト。パシュっとフライの所に水しぶきが上がった。 目立ち度で言えばカワゲラもかなりのもの。
開けた場所の宿命、強風が吹き荒れております。
栗色の眼でオオクマかと思ったが、オオマダラの雄のダンか。
またオオマダラが視界をかすめた。先程のライズも一緒にハッチしているもっと小さいやつか水面直下の何かに反応したのだろう。
ただ待つのは耐えられないので、車に戻りスーパーのおにぎり弁当を持ってきた。この日は長くやらないつもりなので昼飯も簡単に。 弁当の蓋を取り外した時、バシャっと大きな水音。ライズした? 僕は弁当を石の上に置き、代わりにロッドを手にした。 バシャっとまたライズ! 場所は覚えた。僕は少し息を吸い込み、キャストした。 次の目当ての場所はなんと河原の鬱蒼としたブッシュが綺麗に削り取られていた。
川底は無事に見えたが、広々とし過ぎていて、やる気も削がれた。また場所移動。今度は河原も無事だ。そして川の水量が実にいい感じで、魚さえいればきっと釣れると確信した。 慎重にフライを投じる。ここではオオマダラは姿を見せない。それでもオオマダラパターンを結んでいた。 ナチュラルに、狙いのレーンをドンピシャで流した。出ない。
濃厚醤油味の袋麺。うまいっ!(*^^*)
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