2022 釣乃記
第拾伍話  夕暮れの本流にあがく
五月中旬を過ぎた頃、日中の本流はだんだんきびしくなってきていた。
それも踏まえて直近の本流は朝早くをやってみた。結果はニジマスだったが、また一つ本流のデータは蓄積された。
このくらいの時期になると朝よりも夕方だろうか。釣り仲間も夕方に分があると言っていた。
本腰を入れた夕まづめなんて何年もやっていなかったが、可能性を感じていたし、六月になると鮎解禁になることもあって、やってみる気持ちが固まった。
ライズが始まった。瀬と深み、両方でだ。僕はクリーム色の視認性の高いCDCフライを結びキャストした。2度3度流すが出ない。良いところに良い感じで流れているはずだが出ない。虫は割と小さめが飛んでいる。サイズを合わせないと食わないのか?
僕はフライ交換を試みたが、辺りはすっかり暗くなりもはや小さいフライに糸を通すことはできなかった。

夕まづめ2回目。この日は日中から細かい雨が降っていた。仕事を早上がりしてまた目当ての場所へ。日中は前日まで連日の夏日が続いていたから、この雨は雨量より気温水温に影響し、千載一遇のチャンスなのではないかと考えた。
しかし、予想以上に気温は下がり、それは水温、ひいては虫のハッチとアマゴの活性にもマイナスに影響したようで、静かな流れはなんのドラマも起こらなかった。完全に読みを外した。
今年のシーズン前半の本流釣行は、釣りを初めて一番多かった。
そうか、君だったか〜(←これ、前にも言ったな(^o^;))
さらにレーンをずらして流し込む。また出た。今度こそ! フッキングして引きに耐える。(バレるなよー)っと口に出して言いながら緩い流れに誘導しつつ自分も移動する。
次に気になるのは、ニジマスではないかと言うことだったが、ちゃんとアマゴだった。無事キャッチできた。
先にバラした二匹の方が引きは強かったが、まずはホッとした。
そして陽は山の稜線に隠れ、徐々に辺りが暗くなってきて、虫もだいぶ飛び始めた。
夕まづめ1回目。明るいうちから目当ての場所でスタンバイ。 目立ったハッチはなく、ライズもない。ポイントは瀬がありプールに流れ込んでいる。僕は瀬の上手に立ち込み、ドライフライをダウンクロスで流し込んだ。
レーンをずらしながら何度か流すうち、フライに水しぶきが上がった。合わすとグンっと重い。
っと、すぐ外れてしまった。良い型だったのに。
さらにレーンをずらして流し込むとまた出た。合わす、グンっ、プッと外れる。何やってんだもう。
霧雨の降る日、すごく良さそうな雰囲気はある。
明るい時と日没後とでは、川の表情は大きく変わる。
(始まった!)僕はジャンプの辺りにフライを流し込んだ。すると別のレーンでライズ。そこへキャスト。だが出ない。
虫はカワゲラや中型のカゲロウや小さな白い虫も飛ぶ複合ハッチになってきていた。1回目のこともある。小さいフライに変えるべきか。ライズの数が増えてきた。
そしてフライに激しく魚が出た。合わすとゴツンと重い。そして強い引きで走り出した。
(やったっ!)僕はドキドキしながらラインを手繰った。近くまで寄せて魚の正体が見えた時、僕の緊張の糸はあっさり切れた。


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夕まづめの一匹。これよりでかいのは確実にいる。
夕まづめ3回目、霧雨の翌日で五月最終日だった。さらに翌日にはこの水系も鮎釣りが解禁になる。解禁直後はそれなりに鮎師も多いだろうから、この日がラストチャンスと思って挑むことにした。
前日の霧雨の大外しがあるが、この日は日中は夏日になった。日没前に到着、少し待つが何も起こらないので、瀬を流してみた。やはり何も起こらなかった。
そして日没、まず、大型のカワゲラがぱたぱたと飛び始めた。
次にまるでボラのジャンプのようにアマゴらしき魚体が翻った。