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2022 釣乃記
第参話 三月中旬、苦戦の末
雨の土曜日、前日の金曜日から降ったり止んだりが続いていた。
翌日の日曜日に行くかどうか、悩ましいところだ。この雨は釣りエリアの季節を後戻りさせかねない雨になりそうだからだ。 とりあえず僕は土曜日に釣具屋に顔を出した。まだ買っていない川の遊魚券を買うのと、今年の新製品が何か入ってきているかもしれないので、チェックするために。 店には常連Hさんがいて、例によってアニメの話。Hさんオススメの平家物語が良かったので、その話でひとしきり盛り上がる。 前回の釣りで浸水が始まったウェーダーの修理箇所は、もう一度直してみたが、やっぱり浸水が始まっていた。
入ってみた支流も最初は反応がない。入る前に近い場所で二人のフライマンを見かけたが、帰り支度をしていたので、その上流に入った。彼らがやったあとかもしれない。この川も最初の川も、やや水が多かった。金土の雨で増えて、さらに雪解け水も加わったのだろう。 こうなるとヤマメの活性も一気にしぼんでしまいそうだ。ここまで反応なしなのも仕方ないかもしれない。この週末は釣りを見送るべきだったか、という思いが頭をよぎった。 入渓点から上流へ遡った。途中にフラットでやや水深のあるドライフライにうってつけの流れが数カ所ある。ここは釣れるんじゃないだろうかと、僕は気持ちを持ち直した。 そして期待のフラットな流れ、出ない。なんの反応もない。魚がいないとしか考えられない。 更に上流へ進んでからの次の期待のポイントも沈黙したままだった。これはもうダメだ。僕はさすがに心が折れそうになった。
この川、出るんですか?(^^;)
最後の最後に出てくれたヤマメさん。しかしこんなに厳しいとは。
日曜日の朝は少し冷えていた。金曜土曜の雨が降るまでは五月並みの気温だったので、雨のせいで季節の後退がまた起こったようだ。
最初の川は数年前の同じ時期にニンフで良型を釣った場所。しかし柳ならぬネコヤナギの下に二匹目はいなかった。 少し上流へ移動し、これまた過去に釣ったことのあるポイントを拾い釣り歩いた。結果はどこも全く生命反応がなく、この支流に見切りをつけた時は昼が近かった。 別の支流で一箇所入ってみて、そこもダメなら昼飯を食べよう。 釣具屋の若店主(?)と久々に顔を合わせたので、こちらともあれこれ話が尽きない。
一応フライの雑誌の表紙や中の写真、記事についても報告をしておいた。 そしてHさんと若店主と話をしているうちに気持ちが盛り上がってきて、気がつくと二人に翌日に釣りに行くと言っていた。 いい釣りを、楽しんで、と二人に言われ、僕は翌日の釣りに気分良く送り出してもらった。 こういう些細なことが釣りに弾みをつけてくれる。翌日はきっといい釣りができそうだ。
反応なし。足取り重く次の川へ。
やる気復活の元(?)チキンラーメン(^^;
今いる支流の上流部、左右をコンクリートで固められた流れに深みのポイントがある。そこで過去に釣れている。やってみるか。
そのポイントに着き、深みに投げる前に手前の石の陰のところにダンを流すと、一発で食いついた。 僕は一気に体の力が抜けた。 帰る途中、ログハウスの宿泊施設で釣友のYとKさん夫婦に会った。今夜M川氏らと泊まるらしい。今年の釣りの話をしていたら、この日僕が最初に入った川でYがよく太ったヤマメを何匹も釣ったと言う。 僕は呆気に取られ、またしても体の力が抜けてしまった。 戻る 釣りTop 次へ
ホットワックスボディのダン。なかなか良さげです。
徐々に春の気配を帯び始めた川。
#18くらいのカゲロウが多数飛翔。
腹も減ったし昼飯を食おう。時刻は午後3時前になっていた。
昼飯の用意で荷物を運ぶ時も足が重い。おまけにウェーダーが浸水で濡れているから余計にだ。 それでも食べたらようやく落ち着いてきた。冷えた体も熱量注入であったまった。 おかげで少しは前向きな思考になってきた。釣具屋でこの日の釣りに送り出してもらったことが頭に浮かんできた。 そうは言ってもどこをやればいいんだ? 時間的にもあと一箇所しかできなさそうだ。 |