2023 釣乃記
第壱話  解禁に託すこと
「魚券の番号を伝えて事情を話したらどうですか?」と酒店のご主人に言われ、「そうしてみます」と答えた。
少しモヤモヤが晴れた気がして、ようやくいよいよ始まるんだとあらためて実感が湧いてきた。
いつもの神社にお参りをし、前日に雪が降ったわりに山肌には残っていないのを確認し、でもやっぱり花粉は飛んでるなと僕は目をこすった。

渓流解禁から四日、僕は今年の川釣りの最初のポイントに立った。
家を出てだいぶ経ってから、遊漁券を忘れたことに気がついた。ベストに付けた覚えがない。ここ何年か漁協の見回りには会ったことはなかったが、落ち着かない気分で釣りをするのはちょっといやだ。で、日券を買おうと釣りのエリアにある町の漁券を扱う酒店に寄って、いちおう年券を忘れたことを話すと、店の人から見回りが来たら事情を説明することを勧められた。
漁協の車に気づいた時、こちらから言った方がいいと思ったが、間に合わなかった。まあ、また来たらその時言おう。
漁協の人と話をしていた餌釣り師に状況を聞くと、活性を感じられず釣ったヤマメも掛かっても引きもしないで引きづられてくる有様だという。昼が近くなり天気は薄曇りで風はない。釣り人にはやりやすい条件だが、やはり前日の雪の影響があるのか。
「フライじゃきびしいんじゃないの?」と餌釣りの人に言われ、僕は「がんばります」と答えた。

初釣行の前日、maekawacraft に寄った。行こうとしている川を言い、ニンフで深場をやろうと思っていると話すと、M川氏は「あの川ならドライでイケるじゃろ」と言う。ドライで釣れるならそれに越したことはない。いずれにしても今回はなんとしても釣って帰りたかった。
また始まる川の釣り。
川でのもぐもぐタイムも半年ぶり。今回はシンプルに。
ライズ場所にティペット部だけが落ちフライはその少し先。流れるフライがライズ場所に到達するとムワッと波立ちフライが消えた。
合わすとロッドがグンっとしなりヤマメのあらがいが伝わった。

片付けていると車が通りかかった。M川氏だった。早速ドライでライズを釣った事を話した。
そう言えばあれから漁協の監視員は回ってこなかったな。
今回はなんとか会社の同僚達に報告できそうだ、と思いながら僕はウェーダーを脱いだ。



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解禁前からニンフで堰堤下プールばかりを狙う、という解禁直後の釣れない状況対策を考えていた。
しかし思惑は大外れ、最初のプールは沈黙。ビーズヘッドにウェイト入りの深いプール用のニンフを巻いてきたのに。
上流から餌釣り師が下りてきたので僕は上がり、ほかの堰堤下を二ヶ所ほどやってみた。
車に戻る途中、別の餌釣り師が橋の上の車の人に話しかけられている。(監視員の人だ)と、僕は急いでその車に向かったが、車は走り去ってしまった。
半年ぶりの川歩きも、へばらず持ちました(^^;)
思ってもみなかったライズの主。
会社で釣りをしない同僚数人になんとなく、この週末は川釣りの解禁初釣行なんだ、と話した。
すると思いのほか関心があるようで、色々聞き返してくる。雪が降ったからきびしいんだとか、花粉も飛んでいるだろうとか話す。
どうやら釣りをしない彼らにとって解禁とかヤマメを釣るために高速に乗って100km以上走ってとか、普段縁のないイベントが新鮮なのかもしれない。
釣れなかったら笑い話で済ませるつもりだが、いくらかは釣ったよと言いたい気持ちもある。
甲羅を横に置いて。 食べたやつは行儀が良い・・・(^^;)
ニンフ縛りと言いながら・・・不発(〜_〜)。
タヌキにしては大きい。これは、アレか? 
長い区間をドライとニンフを交互に結びながら釣り上がったが、これまた反応0だった。
さすがに疲れたので昼飯と休憩をとることにした。時刻は14時過ぎだった。これからどうするか。
食べ終わってとにかくどこかやろうと、毎回やるすぐに入れる場所に行ってみた。きっとこの日もすでに何人か釣りに入っただろう。
下りてみると小プールで白いものが見えた。(?)そしてまた。ライズっ!?  下りた途端ライズするなんて!?
 僕は結んでいた#14のパラシュートをそのままキャストした。