F.F.雑感
其ノ五百八十四  初釣り 凪と初詣
二つ目の橋を渡りひと山越えて、反対側の海に出る手前の山の中腹に本殿が見える。
去年も元旦に行った神社だった。
車をおき、少し長く傾斜のきつい参道の階段を登ると、途中車から見えていた本殿が姿を現す。

見事に波のない凪いだ海だった。風もなく潮も若潮と、穏やかになる要素がそろった日。
数人の釣り人はいるがよりによってこんな日に来なくてもと思う。
もちろん僕もその「こんな日」に来た釣り人のひとりだ。
海中で細かな泡が発生しているように見えた。ひょっとしてこれがプランクトン? エビやカニの幼生は2,3mmだそうだからこの細かな泡よりも大きい。それでも変化のサインかもしれないので、僕はプランクトンパターンに戻した。#22だからこれも2,3mmくらいのサイズだ。
キャストして引くと先ほどまでよりも重い。カウントは同じくらいにしているつもりだが、抵抗がある。表層から下に向けての潮流があるような、そんな感じ。潮流は水平方向だけではないのかもしれない。
と、コツっとアタリ。チビメバルが掛かった。う〜ん、やっぱり若潮では釣れてもこんなものか。でもわかっていてこんな日に来たんだった。

そもそもなんでこの日に釣りに来たのかというと、元日にずっとゴロゴロしていて、でもこれじゃあまずいと思ったからで。一日くらいはいいとしても、何日も続けてはあまりにもダレすぎる。それで潮が良くなるのを待たずして若潮のこの日に初釣り釣行となった。
元旦は去年収穫の最後のクリタケでキノコ雑煮(*^^*)
凪の若潮の真っ昼間。あとから考えるとよく釣れてくれました。感謝です(^人^)
潮が動いている気配はない。それはわかった上で来たのだが、それにしても動かない。
中層から底の方にかけてメバルらしき魚影は見える。だがフライを通しても追う様子はない。極小のプランクトンパターンだとしても、それが流れない状況ではそれはプランクトンには見えないのだろう。
スズメダイの群れが水面に水紋を作る。凪いだ水面には何もないように見えるが、かなり小さな何かが浮かんでいるのだろう。
僕はあまり期待はせずにフローティングラインに変えてみた。
過去には雪の市内を脱出しての初釣りもあった。今回は真逆の天候。
ライズした辺りにフライを通してみたが、予想通り反応なし。まあスズメダイだし。
するとスズメダイの群れの中にもわっと水面を破る魚影があった。これはメバルだ。僕はそこをティペットがまたぐようにキャスト。引いてみたが出ない。何度かやったがダメだった。

またシンキングラインに戻した。フライもプランクトンからベイトフライにした。何に反応するかは探ってみないとわからない。
無風だったのが、少し風が出てきた。
一応2023年初メバルさんです(^^;)
見事に凪いだ海。これほど波がないのは滅多にお目にかかれない。
島の神社、新宮八幡宮。今年もここに初詣
昼が近くなってきた。そろそろ干潮だが若潮だからあまり海面は落ちない。
気温は結構上がってきていて、全く寒さは感じない。吹き始めた風はまた止んだ。
また水面でメバルが捕食した。フローティングラインでやってみるがやっぱり食ってこない。水面指向のメバルはラインの着水で警戒しているのかもしれない。なにしろ水面は過去に見たことがないくらい波のない穏やかさだった。
もう何がいいのかわからない。凪の釣りはごまかしがきかないようだ。
やはりこんな苦しい時は小さいフライが少しでも可能性がある。
キャストして引くとまた少し重いような。例の海中の縦の潮流か。っと、フライからティペット、ライン、ロッド、手へと、メバルの感触が伝わってきた。
また小さいフライに救われた。

帰りに寄った島の神社。巫女さんに大幣で頭をわさわさされたから今年もご利益がありそうだ。
正月らしからぬ陽気で上りの長い階段では少し汗ばんだが、下りでは海からの風がひんやり気持ちよかった。
水面か水中か。毎度のことながら迷うな〜。