2023 釣乃記
第拾話  増水と連休の壁
GWに入ってから行った前回の増水の釣りから中一日開けて、僕はまた釣りに出掛けた。
まだ早いような気もしたが、もう一度本流でやっておきたかった。
その場所、土手から見るとイケそうだ。僕は期待が高まるのを感じつつ川に降りて、すぐその期待が縮まるのも感じた。
(み、水が多い)遠目に見たらわからなかったが、川まで降りるとやはりまだ増水している。でもなんとか遡行できそうだ。
僕はウェーディングスタッフをつきながら川を進んだ。
やや大きめのプール、その先は瀬があり堰堤に行き着く。まずプールでライズした。水面をばたつくカワゲラを追いかけ魚体が飛び出すという派手なライズだ。魚は大きくはないが、気持ちはたかぶるシチュエーションだ。
フライを投げるといきなり食いついた。デカいカワムツだ。君じゃないんだよ。急いでフライを洗い、乾かしてまたキャスト。別のところでライズ。そちらにキャスト。今度はヤマメが出た。サイズはもう一つだが幅広で立派な体型だ。
ライズが止まったので、瀬を流しそのまま堰堤のところまで行った。堰堤下の溜まりでもライズ。これも釣るが小さい。
陽が山の稜線に隠れた。堰堤で道路に上がりたかったが、道路までの間に田んぼの電気柵が設置してあるのでもう少し進むしかない。瀬で何匹か釣り、しばらく行くと小プールに行き着いた。辺りは薄暗くなり始めている。
そこでの一投目で出た。同じくらいのサイズだが、カワゲラへのライズ以降、ストレスなく釣れ続けた。それまでの本流や支流の無反応はなんだったのかというくらいに状況が一変していた。

それからまた中一日開けて、僕は釣りに出掛けた。前々回、GWの最初の釣りで向かったのと同じ第一支流。今度という今度こそ水は引いているはずだ。道中に見える川も水位は落ち着いているように見えた。
前回の釣りで夕方18時半まで釣りをしたので帰りが遅くなって、帰宅したのが21時前だった。その疲れは残っていなくはないが天気予報では翌日以降、雨が降る。そうなるとこの日がGWのラストチャンス、行かない訳にはいかなかった。
木漏れ日すやすやタイム会場。もはや恒例です(^^;)
帰るのに二時間はかかるのに、18時半までやってしまった(^^;)
今がGWの真っ只中で、翌日からの雨の予報。そしたらこの日に釣り人が集中するのは当然か。
川を上がると上流から釣り人二人がくだってくるのが見えた。
最後に残しておいた区間。そこでようやく一匹釣れた。ここまで手こずるとは思わなかった。

この日は前回のように粘るつもりはなく僕はウェーダーを脱いだ。
これから雨が続くと、次に増水が落ち着くのはいつになるのか。
僕はとりあえず、雨が降る残りの連休の予定を考えることにした。
しかしポイントは激しい流れでどこも潰れていた。結局今回も増水の洗礼を受けてしまった。
無理して遡行したので、かなり体力を消耗した。同じ増水でも河原を歩けるポイントがあるから、次はそこへ移動した。
河原の横の流れは水位は高いが、ドライフライを流せばなんとかなりそうに思えた。
厚みのある流れにキャスト。フライを目で追う。出ない。少し移動してキャスト、出ない。また移動して・・・出ない。
ここには・・・もう魚がいないとしか思えなかった。
ツツジの咲く渓。やっぱり水はまだ多い。



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遠かった一匹。苦戦に次ぐ苦戦(^^;)
昼をだいぶ回った頃、僕は小さめの支流へとシフトした。本流への踏ん切りをつけるのが遅すぎだ。
支流は呆気ないほど早くに水は引いたようで、平水より気持ち多いくらい。
その支流の狙っていたポイントは全くダメだった。そりゃそうか、GWの只中で昼過ぎなら、とっくに誰かが入っているに違いない。

だいぶ足にきた。日中は20度を超え汗もかいた。帰りの事も考えそろそろ上がろうかと思った時、大型のカワゲラが飛び始めた。
超久々の日清焼きそば。うま〜(*^^*)
チビ幅広のライズヤマメさん。
木漏れ日のもぐもぐ会場で明星チャリメラ。  
前々回と同じ場所を辿る。その最初のポイント、良い水位。ふと下流側を見てみると、釣り人がいた。長い竿、餌釣り師だった。
気づくのが遅れた。どうしようかと思ったが、引き上げることにした。
次の場所へ。そこには人はいなかった。良い水位になっている。
(これは出るでしょー)と、僕は慎重にポイントへキャストした。出ない。その先へ。出ない。
この場所は穴場で、去年は良い型が釣れたのに。
ふと足元を見ると真新しい足跡がある。 (抜かれたのか〜)