2023 釣乃記
第漆話  行き来する春の思惑
以前も思ったが、釣りをするためのフィールドの情報が事前に色々手に入るようになった。
するとそれによる弊害もいくらか出てきたりする。こういうものはセットになっているのだろう。
先週の週中の雨、その週末の川の水位や風速。情報を元に行くのをやめたり、強攻突破したり。
微妙な場合はやっぱり行ってみないとわからない。情報が溢れるが故に迷いも生じ、その判断が正解かどうか。
さらには自分の判断と逆の行動をとった仲間が良い結果を出したりしたら・・・。
先週は週末前の雨で週末は増水を心配したが、それよりも手をつけられないほどの強風にやられた。さらに冷たい雨で水温が下り、アマゴたちの活性が下がってしまったことが追い討ちをかけた。
増水と強風は事前に情報があり、増水は釣りができないほどではなく、強風はとんでもない爆風だった。情報に振り回された気もするが、行かなかったらそれはそれで後悔しただろうから、全くもって何が正解だったかわからない。
週末の翌日の月曜日に釣友のKK君が会社が休みだったので釣りに行っている。増水の川だったが素晴らしい釣果を上げていた。一日違いで雲泥の差だ。もちろん釣り方のうまさもあろうし、運もある。考え出したらキリがないが、今が一番良い時期であることは間違いなかった。

KK君の釣果や次の週末がまた雨予報なことから、僕は週中の木曜日あたりがベストだと思い、有給休暇を取って釣りに行くことにした。場所はKK君が月曜日に釣りをした同じ水系の本流筋だ。
いつの間にか、山は新緑に覆われて。
水に浸かっていると言うことはやっぱり増水している。
また下流側に回り込んで上流へキャスト。ライズのあと何回目かのそれで水面がバシャっと弾けた。
合わすとゴンっときた。そのまま流れに入られた。ロッドが大きく曲がる。流れの先は荒瀬になっている。そこに入られるとまずい。
僕はやや強引に引きの主を岸側に誘導した。水中でギラリと魚体が光った(ふ、太い)。
岸際のゆるい流れまで寄せ、ネットですくった。見事な背っぱりのヤマメ。
情報だの戦略だのとあれこれ考えても、こういう一匹を釣ったらみんな吹っ飛ぶな、と僕は思った。



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人の釣果も情報の一つで、聞いてから行っても遅いというのはよくある事だ。それでも広い本流はまだ可能性はあると読んだ。
最初に入った場所はまだ増水の影響は残っていたが、釣りに影響はなく、ただ反応もなかった。
二番目の場所、入って先にあるプールの流れ込みをやろうとしたら上流からルアーの人が降りてきた。流れ込みはその人がやり始めたので、僕は下流へ向かった。
下流側の瀬もだいぶ増水していたが逆に良い感じになっていた。何ヶ所か流すが魚は出ない。
一匹目より体長は短いが顔つきと体型は尺の貫禄(^^;)
新緑の山を見ていると、気持ちが癒されます。
行きがかり上、上流から釣り下る形になったので、ダウンクロスでやってみるがしっくりこない。
河原を下流側に回り込んで、上流に向けてアップクロスで投げる。それを繰り返した。
何回目かの河原の回り込みで、上流側を見るとパシュッとしぶきが上がった。ライズだ。
先ほどから単発でオオマダラが飛んでいる。僕はオオマダラをイメージしたCDCの半沈みパターンを結び、キャストした。
一発で出た。合わすとグィーっとロッドが引き込まれた。本流の魚のパワーはたまらない。
久々のもぐもぐタイム。やるやらないは釣果次第。
本流で磨かれた魚体は何度見ても美しい〜(*^^*)。
オオマダラが飛べば、このフライが効く(はず)。 
有給休暇取って来た甲斐があった。本流のヤマメはパワーもだが魚体の美しさも格別だ。

今回は増水と爆風の週末の後のKK君の釣果を聞いての釣行で、とりあえず結果は出せた。
この日の気温や風が弱いのも事前に情報を確認していた。練りに練ってプランした釣行がズバリ当たって良い釣りができる、なんて滅多にないことだ。
しかし、事前の情報なしに行き当たりばったりで釣りに行くよりも戦略を練って行く方が、釣った時のしてやったり感も大きい。