2023 釣乃記
第陸話  あきれた強風
そもそも春はもっと雨が降るはずなのに、そんなに降っていない。
なかなか瀬の釣りが良くならないのも無理もない。
この週中にようやく雨が降った。週末手前の雨量はちょっと降り過ぎではないかと言うくらい。
でも場所によってはいい増水具合になっていると読んで、僕は川を目指した。どうか釣りが出来ない程の増水ではありませんように。

そして僕は予想外に増えていない水位と、予想に反して暴風が吹き荒れる川に立ち、唖然とした。
あとからわかったが、この日は釣友のTSさんは暴風を予測して釣りに行かなかったという。それは好判断だ。確かに風が釣りの意欲を削いでしまうのは間違いなく、徒労に終わる可能性の高さを考えれば、行かない判断ができる人はすごい。
僕はそれでもひょっとしたら、という考えがまさってしまう。そして出向いて後悔する。今回も本流に来たわけだが、支流をやるという手もある。なのに本流スイッチの入った日はなかなか切り替えられない。風の判断も釣り場の切り替えも、臨機応変にやればもっとましに週末が過ごせように、それをしないのは僕の性格なんだな。全くもって厄介だ。
この日僕と同じく釣りに来たTさんとKK君は結果的には釣れなかった。彼らを持ってしても釣れないほどの悪条件だったのだ。
強風にもめげず、小型のマダラカゲロウがハッチ。
よく釣れてくれました、アマゴさん。
フライが消えた。水しぶきは上がっていないが、ロッドをあおるとグッと手応えがあった。
掛かった。この強風でアマゴを釣ることができた。スクールに参加していなかったら、このアマゴは釣れていなかったかも知れない。

週中の雨は増水だけでなくかなり水温を下げた。週末の暴風が釣りの邪魔をしたように思っていたが、実は低水温がアマゴの活性をかき消してしまったようだ。
僕はアマゴとキャスティングの手応えを得て、この日の釣りを終えた。



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この週末は全国的に春の嵐が席巻したようで、この暴風は僕の行った川のエリアだけの話ではなかった。
目当ての川は水が気持ち増えているだろうか。釣り始めてみると、増えているようないないような。
キャストすると、フライが僕の後方に落ちる。これはいかん。
力んで無理やり前方に投げるがフライは押し戻されてしまう。水面の水が風に吹かれて飛沫が上がっている。
これは控え目にみても、もう釣りができる状況ではない。
終日の爆風。雲はとどまる事を知らず、流され続けた(^^;)
しゃにむに力任せにキャストするがどうやっても思うところに投げられない。
あー、もうダメかも、と思いながらスッと投げたら、フライが風に戻されずきれいにターンオーバーした。
(!) なんだ!? 僕は咄嗟にはわからず、そのキャストが自然い出たことに思い当たるフシがあった。そうだ、スクールで矯正されたじゃないか。
力まず投げよう投げようと思わずに、スクールで身につけたキャスティングが自然に出た時、暴風が嘘のようにターンオーバーした。
釣行前夜。この時はなんの不安もなく良いイメージだけが(^^;)
スクールでの僕のキャスティングの矯正で、一番影響があったのは入力の仕方だった。僕の今までのキャスティングは、シュートの時途中でとめていた。フライを始めた当初はそう教わっていた。もう30年近く前だ。それからの時間の経過でキャスティング技術や道具の進化で、キャスティングの理論も変わって当然だ。僕は古いやり方に縛られていた。
スクールではSRさんに最後まで入力するようにと教わった。グリップに力を入れ、投げる方向にロッドを向けて力は入れ続ける。入力はロッドのバットを曲げるイメージで。ロッドの反発のエネルギーをロスすることなくライン先端に伝えていく。
僕のこの理解も間違っているところがあるかもしれないが、明らかに今までの僕のキャスティングよりはしっかりターンオーバーし出したことは間違いなかった。それもこの強風の中で。