2023 釣乃記
第捌話  瀬の中にある激しさ
(おお、飛んどる!)僕はほくそえんだ。オオマダラが飛ぶのが見えると気分が高まる。
ちょっと季節の進行が、冷たい雨が降ったせいで足踏み状態になっていた。それがようやく気持ちが早るほどのオオマダラの飛翔。きっとそれだけ季節が一段階進んだんだな。
僕はどんどん期待が高まって行くのを抑えつつ、河原へ降りて下流を見て「あっ」っと思わず声をあげた。
下流側にフライラインを操る人影が。・・・先行者。
その場所を後にして、僕は車に戻り、さてどこへ行こうか。平日だから最初の場所には僕しかいないだろうという考えしかなかった。二番目の候補はと頭を巡らせ、思いついたのは去年釣り仲間のKK君から教えてもらった場所だった。割と長い区間だし、この日の増水具合から考えても遡行はキツそうだが、もうそこしかない。
移動すると釣り師らしき車は停まっていない。平日なんだしそんなに釣り師がいたら困るが、この日が水位や気温を考えてもベストなのは釣りをする人ならわかっているだろうから、もし休みが取れるならどうしたってこの日になる。
入渓すると先週の有給休暇で来た時に入った場所よりも増水しているのがわかった。先週の週末にも雨が降ったから増水の追い討ちがあった形だ。歩けなくはないが、本流の流れなので最初っからウェーディングスタッフを出した。歩き出すと太い流れが僕の足にのしかかってきた。
この時は一応まずまずのが釣れてひと安心していた(^^;)
なんとか歩ける本流。スタッフ必須で(^^;)
合わすと一気に二段下まで走られた。(何が掛かった!?) とめられないと思い、僕は下流へ走った。よくコケなかった。 勢いが弱まる気配はなく激しく動くので魚がどこにいるかわからない。
すると今度は上流へ向かって走りだした。ここで僕はようやくただならぬ魚なのだと気がついた。
勢い余ってかその魚は流れのゆるい場所へ自ら入り込み、僕はネットを被せるように魚を押さえた。
その時僕は、それがヤマメだと確認すると同時にKK君やN君、TさんやTSさんの顔が浮かんだ。
(みんな、釣ったよ。)
この日、僕は前の週と同じく木曜日に有給休暇を取っての釣行だった。
確かに前回はルアーマンがいたがこの日はフライマン。この本流の区間はやはり入渓する人が多い。それだけ良いポイントなのだ。

あとからわかったが、そのフライマンは釣り仲間のN君だった。彼は土日が休めないから平日の休める時でないと釣りに来れない。
僕がこの日の釣りを決めたのは週間天気予報でこの日が一番気温が上がるからだった。
そして僕は思う存分スヤスヤしたのであった(^^;)



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まだ現実味がない・・・。このヤマメが、本当に出たのかっ!?
おそらく平水だとチャラチャラの瀬だろう。一年振りの流れだからどんな感じだったか忘れていた。
沈み石のある良さげなポイントに投げていくが、反応はない。
どうも去年KK君と入った時とかなり渓相が変わっているようだ。秋の台風で大水が出たはずだから変わっていて不思議はない。

大きめの沈み石が見える場所。石の上流側に魚が付いていることがよくある。
慎重に投げ、ドラグを回避しているとバシャっと出た!
もぐもぐタイムは函館塩。空腹に沁みた〜。
この日も清冽な流れと新緑がまぶしい。
数年ぶりにグローブを新調しました。  
平日釣行はほかの釣り師が少ないのがメリットだと思っていたが、この日は気温の高さが決め手になった。
寒の戻りが何度となく繰り返され魚の活性が上がりきらない気がしていたから、気温が一番高い日優先で行くのは十分アリだ。

沈み石の上流側で出たヤマメはネット内径ギリギリの良型だった。今季の一番のサイズが出て、僕はホッと胸を撫で下ろした。
その少し先の瀬、期待せずに流したら、かすめ取るようにフライに出た。