2023 釣乃記
第拾伍話  谷底でゴギと過ごす
渓谷の遊歩道を散策する人のための駐車場の少し手前にある料金所の人に僕は「おはようございます」と声をかけた。けっこう朝早くからつめているんだ。
メインの渓谷の支流であるこの川に降りると、期待したほど水は増えていない。というよりあっさりと減水したようだ。
決して渇水というわけではないので、落胆することもないと気を持ち直してキャストを始めた。
良い場所に投げたがゴギが出ない。するとすぐに(抜かれているのでは)とネガティヴなことを考えてしまう。
やっぱりそうか。なんとなく想像はしていたが、入渓者が多いなら大きいやつは抜かれているのだろう。
「わしらが釣りしよった頃は、雨で水かさが増すのを狙って来よったよ。そうそう、ここより下流はあまり人が入らんで」と管理の人。そう、僕は下流が良いのではないかと思い、道路に上がってまた戻ってきたのだ。
「ありがとうございます。やってみます」と言い、僕は下流へ向かった。料金所を過ぎそのまま道路を数百メートル行くと駐車場があり、支流も道路に沿ってある。支流は駐車場の先でメインの渓谷と合流している。僕は合流点まで下ってそこから支流を釣り上がることにした。
料金所を通過して合流点付近にある駐車場へ向かう車が数台、駐車場にも数台。ここは観光なら秋の紅葉がベストだが、この時期もわりと来る人がいる。駐車しているに中には合流後の川を狙う釣り人の車もいるかもしれない。
管理の人の言う通り、支流下流部はあまり人の入った形跡がなかった。ただし上流部より木が覆い被さっている区間が多く、キャスティングはやりづらい。当然フライもよく引っ掛かった。
ここでもアマゴとゴギが飽きない程度に釣れた。だが良いサイズが出ない。
あの先にある谷底へと身を沈めていく(^^;)
ゴギさんも次々と出てくれました。
良いのが居つきそうなポイントもあまりなかった。料金所近くまで釣り上がり、最後にかわいいゴギが釣れた。魚影は濃かった。

また管理の人と話す。小さいのしか釣れなかったと言うと、
「秋には大きいのが見えるんじゃが。そりゃ悪かったのう」
と言われ、(いやいや、悪かったなんて言わんでください。下流の話を聞かなくても行くつもりだったんで)と心で思った。
そして僕は声に出して言った。
「増水したらまたきます」




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木曜日に雨が降って中一日開けての釣り。源流部はすでに水が引いていると思えたが、県北部の景勝地として有名な川へ向かった。
家から片道75km。市内から近いが谷は深い。渓谷は大場所だが駐車場へ向かう道沿いの支流は手頃な規模だ。
そんな場所でゴギとアマゴの混生域なのだから、当然釣り人もよく入るだろう。だからベストは雨の後の増水時ということになる。

むつかしい流れで出た。最初はアマゴだった。
谷底から一気に標高を上げて、昼飯と昼寝をば(^_^)
緑もすっかり濃くなりました。
釣り上がっていくと、やはり王道ポイントでは出ず、ややこしげなところで出る。
すごい早朝に誰か入ったとは考えられず、しかし前日には入っているかもしれない。
そういう王道から外れた場所を拾いながらの釣りになってきた。

この日はカーブのフックに巻いたHOTWAX のアントで釣っていた。平日に巻きためていたので、これを試す釣りでもあった。
今まではストレートだったが、カーブの方がタイイングにも具合がいいし反応も良いように思う。
ケンミン焼ビーフン。王道のうまさ。
快釣、HOTWAX BLACK アント(*^^*)。
アマゴさんもがんばってます。
ゴギもぽちぽち釣れ始めた。そして時折アマゴ。どれもかわいいサイズだ。
ゆるい流れではHOTWAX アントを見切られることもあったが、食った時はたいていがっぽり飲み込んでいた。やはりこのフライはかなり良さそうだ。
小一時間釣り上がり、堰堤までやって、道路に上がった。そして入渓した駐車場料金所のところまで戻って管理の人と話した。
「どうやった?」
「小さいのは結構釣れました」
「この支流はここから上流に釣り人がたくさん入るからのう」