2023 釣乃記
第拾陸話  増水と強風の夏
一瞬(なんだっ!?)っと思ったが、すぐに草刈りの人たちの車だとピンときた。
僕がいつも停める場所に7,8台の車が停まっていたから、何事かと思った。
来る途中でもあちこちで路肩の草刈りをやっていた。そこは平日のことだから、大々的にやっているようだ。
少し離れた場所、路肩の草は刈り取り済みなのを確認し、僕は車を停めた。ドアを開けると山間部の渓流沿いには珍しく強風が吹き荒れていた。 
ポイントに立つと、この場所のベストの水位からは10cmは下がっていた。ほかの場所は釣り不可能なくらいの増水だが、ここだけは別で、むしろ来るのが数日遅かったくらいだ。しかし前の日まではこの辺りも通り雨はかなり降っていたし、先週の大雨の増水が引く間もなくまた降って増えたり引いたりを繰り返しているはずで、いつ行くか、水位はどうか、判断は難しかった。
それに何よりも金曜日でないと有休は取れなかったから、選択肢はほかになかったのだ。
左岸から右岸のきわを狙う。ビートルのパラシュートを慎重にキャスト。数投目にボショっと出た。合わすとなんの感触もなくラインが宙を舞った。(!) 切れた!? 何? ティペットを見ると切れている。いとも簡単に。
このティペットは前回渓流に来た時につけていたものだ。そしてこの日はそれから一ヶ月以上経っている。劣化していたのだ。結んだ時は平気だったけど、そりゃあダメだろ。僕はティペットを結び変えなかった自分の横着さに呆れた。
このポイントではそれっきり出なかった。千載一遇のチャンスを逸してしまった。
有休を取っての釣行、しかも増水でポイントが限られる中の、有望ポイントの失敗は堪えた。もう一箇所増水ポイントがあるがそこで釣れないとかなりヤバい。
道の駅ニャンコ先生! 暑中お見舞い申し上げます(^^;)
なんか、流れが真っ平になってます(*_*)
しかしドラグがかかりUターン。これはダウンクロスでないと無理だ。僕は上流に回り込みキャストするがもう追ってこない。
少し上流側の流れ、激しく波立っているが底に沈み石がある。キャストすると手前の流れでドラグがかかる前に強風が吹きフライを留めてくれた。
沈み石の陰からゆっくり魚影が浮上し、フライをくわえた。ああ、よかった。僕は水中に見える魚影と増水の流れに入ってあらがうヤマメの引きに安堵した。
あとは昼飯と昼寝を堪能するだけだ。
先週、梅雨の合間にフラットへ行き、そのあとの土日は雨でどっぷりとごろごろを決め込んだ。
この週末、頭に浮かんだのは渓流だった。だいぶ雨が降ったから大抵の場所は釣りにならない。
しかし、増水したら良くなる場所がある。それもモタモタしていたら減水してチャンスを逃すかもしれない。
僕は意を決し、金曜日に有休を取った。先週のフラットは木曜日の午後からだった。二週連続釣りで有休だが、業務をこなしていれば後ろめたく感じる必要は全くないのだ。
新たに見つけたもぐもぐ&すやすやポイント。極楽です〜(^^)



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なんとか、増水ヤマメさん(^^;)
どのみち増水だから場所は限られ長い時間釣りはできない。納得できる型を釣ったら、河原で昼飯を食べて帰ろうと目論んでいた。
思えばかなりリスキーな釣行プランだ。そうまでしてでも来ようと思った。それは増水ポイントの期待だけが理由ではなかった。

まだ梅雨明けは発表されていないが、もう夏本番と言っていい。
それならここ何年かやっているフラットのチヌの盛期となる。現に雨の週末を除けば何度か行っているし。
この日はフォームビートルが好調。
紫陽花ロード、見頃になりました。
久々もぐもぐタイムはやっぱり出前一丁。  
そうなると今度は渓流が恋しくなる、じゃないけど無性に行きたくなってくる。趣が全く違う、別ジャンルの楽しみがあるような、そんな感じだ。
パワフルでリールを逆転させるチヌもいいが、緑濃い渓でバンブーロッドでヤマメを釣るのもパワーだけでない良さがある。

もう一箇所のポイント、過去の増水時は釣れたことはないが、水位が高い方が良さげに見える。
最初と同じく左岸から右岸にキャスト。すぐにフライを追う魚影が見えた。