2023 釣乃記
第拾漆話  誤算の釣り、蝶の夏
カーブを曲がった時、僕は目を疑った。(車がいる〜っ!)
釣り人の車かどうかを確かめるまでもない。人が車の横でウェーダーをはいている最中だった。
まさにタッチの差だ。4時半起きで出てきたのに。ここまでギリギリアウトっていうも珍しい。

これが最初の誤算と言えばそうだが、来てしまっているのだから、次の場所を考えよう。せっかくまだ朝の涼しい時間だし。きっと日中は町と変わらないくらいに暑くなるだろうから。
ここ何年かのうちで今年は一番暑い夏の気がする。あまりの暑さに釣りも控えめになっているというか。チヌは渓流に比べて近場なので、いくら暑くても行ってみようかという気になる。しかし渓流は片道100km以上だから、普段の暑さにバテ気味の状態では運転して行くのを想像するだけでも億劫になってしまう。

何よりも梅雨明け以降たいして雨が降っておらず、渓流が渇水なのは目に見えていた。それが台風のもたらした雨で増水しているのなら、運転も苦にならないというもの。
で、早起きで増水でよくなるポイントを目指してのタッチの差の先行者。僕はそこを諦めて何年ぶりかで入る区間をやってみることにした。川に降りるとオレンジがワンポイントの蝶が飛んでいた。なんて名前だろう。そして川を見て僕はまた落胆した。
22度の朝。気温は快適だが、誤算だらけ。
待ちに待った日清焼きそば。もう楽しみはこれしかないわ(>▽<;)
でもここは水が少ないなりにいいポイントではある。増水時に狙う対岸の岸際をみると、なんとライズした! これは千載一遇のチャンス。僕は慎重にアントをキャストした。反応なし。少し待つとまたライズ。やる気のあるヤマメだ。やや近づき、キャスト。ライズの上50cmくらいのところに落ちた。いい感じで流れている。しかし反応はせずじまい。むつかしい。
そのあと、やはりチビヤマメを何匹か釣って、じわじわと暑くなるのを感じた。朝は涼しかったのでウェーダーをはいているが、中がどんどん蒸れてくるのがわかる。
日陰で細く深くなっている流れ。上流から流すと出ないまま通過しきる直前、バシャっと出た! 合わすと掛かったような感触でラインを手繰るが動かない。そしてプッと外れた。合わして掛かったのは水中のゴミか木の枝だったような感じだが、出方は良かった。暑さと疲れで集中力を欠いていて、合わせが遅かったかもしれない。
不意に目の前を蝶が飛んだ。それを見て僕はロッドを振る手をとめた。釣りの終わり時を決めきれないでいたが、空腹を覚えたので僕は川から上がる気持ちが固まった。




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週の中頃に台風が離れたところを通過した。北部では雨雲はかかりけっこう雨が降った。
(これは渓流に行くしかない)とかなり強く意識することに違和感があった。そうまで意識しないと行かないのか?
確かに直近はフラットのチヌに多く時間を割いている。渓流はというと、二つ前の釣りが六月中旬、それからひと月空いて前回が七月中旬。七月はその一回しか行っておらず、それからすでにまたひと月が経っている。渓流、そんなに行ってないのか。
すやすやタイムは早起きの時は本気寝できます。
増水して良くなるポイントは、かなり増水しないと良くならない。そして入った区間の水位はというと、ほぼ平水だった。ということは目当てのポイントは、良くなる水位には達していなかったことになる。
台風前は渇水だったろうから、これでも水は増えたんだろう。しかし、この時期の渓流は増水が狙い目で、平水なのも誤算だった。
そしてその通り、投げれど投げれど反応がない。
徐々に時間が経ち、朝のうちの涼しさもどこへやら。暑くなってきた。
カラスアゲハはこの時期よく見ます。
これくらいの小ヤマメさん、けっこう釣れました(*^^*)。
アオバセセリという蝶だそうです。
フライの下で走る魚影が見える。見切られているのか。
しばらくしてようやく早い流れで一匹、チビヤマメが釣れた。すぐ上でもう一匹、やはりチビ。
二時間ほどやってチビばかり。僕は朝入り損ねた場所へ行ってみた。増水していないから期待は持てないが、ひょっとしたらということもある。

行ってみると朝の先行者の車はもうない。おりるとやはり水は少ない。ここは増水時にばかり来ているから尚更少なく見える。