2025 釣乃記
第伍話  卯月のゴギとふきのとう
後方から近づいてきた軽自動車が僕の横でスピードを落とした。その気配に振り向くと、運転手の顔に見覚えが。YSさんだった。
「どお?」 「ダメです〜」
いろんなジャンルに長けているYSさんだが、もちろん釣りも。そして、この日もあちこち探って回っているそうだが、芳しくないとのこと。
僕が釣り以外の目的もあるのだと言うと、YSさんは笑っていた。上流へ向かうYSさんと別れ、僕はとりあえず手頃な場所から入渓した。
KK君から本流釣果の知らせが入った。徐々に上向き加減であるらしい。しかし僕は落ち着かなかった。Tさんのタラの芽の投稿以来、タラの芽が気になっている。そしてこの週末はTさんとTSさんがバイクでタラの芽を採りに行くという。
僕はやはり釣りには行こうと思っていたが、タラの芽と聞くと心穏やかではいられない。ならば、釣りとタラの芽の両方を狙える場所に行くしかない。KK君の本流情報も気になるが、タラの芽には勝てなかった。
週末、向かった先はやや標高の高い支流の支流。そこにタラの木があるのは知っていた。そしてそこでYSさんと遭遇した。
その川ではチビヤマメばかりをだいぶ釣った。サイズはともかく魚影が濃く、そしてドライフライにしっかり出てくれ始めたのは喜ばしい。
川から上がり川沿いの林道を車まで戻る道すがら、タラの木を探す。そしてすぐに何本か見つけたが、どれも芽は出ていなかった。後からわかったが、今タラの芽が出ているのは標高100mくらいまでで、それより高いとまだまだらしい。この川はだいぶ標高が高い。
彼方の山はいまだに雪が・・・(^^;)。
こんな早い時期からゴギ・・・(>▽<;)。
本流の情報が届いても、一度タラの芽が気になりだしたらそっちに行かずにはおられなくなった。
結果的にタラの芽がふきのとうに変わった訳だがそれも悪くない。
ただ、ここまで山菜に入れ込むとは我ながら意外ではある。今まで気にも止めず釣りに躍起になっていたこの時期に、山菜のために釣行先を変えるなんて。
あとで後悔しやしないかと自問するが、翌朝作ったふきのとうのホットサンドを食べた時、口の中に広がるほろ苦さに、今回はこれが正解だなと、僕は納得した。
ここは中の小くらいの支流だが、まだ枝葉が伸びていないし、水量も丁度いいので釣りやすそうだ。
落ち込みの流れ出しの平らな場所に投げるとぼそっと出た。合わすと小さいヤマメが掛かった。
すぐ外し先へ進む。水深は浅いが石が沈んでいい感じの流れ。投げるとヌッと魚体がフライをくわえた。合わす。また小さい。
うむ、それでも先週までのような出るけどくわえない出方ではなくなってきている。
また出た。また掛かった。また小さい。
いや〜、これはウマイ。余は満足じゃ〜(*^^*)



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タラの木の支流に入る前に大場所もやりましたが反応なし(^^;)。
車の手前、ふと見るとふきのとうが生えていた。前々回、ちょっと採ったのだが、時期的にはそれがラストだろうと思っていた。
そうか、タラの芽が遅れるくらいに季節の進行が遅く、それでまだふきのとうがイケるんだ。
多くは開いていたが、まだ開いていないものもいくつかある。これなら帰って色々作れるな、良かった良かった。

いや待て、本当に良いのか? 本分はあくまで釣り。山菜の収穫があったからと満足していいのか?
そして、ふきのとうの天ぷら(*^^*)
前回の時よりももっと開いていないやつが結構な量、採れました(^o^)。
ふきのとう入り函館塩ラーメン。  
近くにある別の支流に移動した。夏によく行く川で、こんな時期に釣りをするのは十数年ぶりだ。
そしてここでもチビヤマメがよくフライを追った。このまま残ってくれたら、夏に来る時にはだいぶいいサイズになっていそうだ。
そしてこの支流に来た本当の目的はさらに枝沢にあるゴギポイントだった。こうなったら少しはマシなサイズのゴギで帳尻合わせをしようと考えた。
だが期待サイズのゴギは出ず、小さめのゴギと、道沿いでまたふきのとうを摘んで終わった。