2025 釣乃記
第陸話  桜満開、瀬にヤマメ
スッとフライが見えなくなりロッドを立てると掛かった。
(ああ、ドライフライを魚がくわえて、合わしたら掛かったんだ)
フライで釣りをしているのだから当然のことなのに、それが特別なことのように僕は感じた。
小気味よく引き、二十数センチのヤマメが寄ってきた。こうなるまでにひと月半。なんだか随分と長く感じた。
かがみ込んでヤマメの写真を撮っているとじわっと背中が暑い。日差しに照りつけられて、暖かいを通り越してしまっている。
今年の冬の雪の多さはほぼ僕の三月の釣りを沈黙させた。ボウズかそれに限りなく近いチビヤマメのみの釣果が続いた。こうなると徒労感で打ちのめされそうなものだが、それをふきのとうに救われた形になった。ただ、ふきのとうが採れたとはいえ、往復260kmを走るのだから、釣果がこんなだとさぞやつらかったろう、我ながら。
例によって忘備録の本HPを見返しても、解禁後の約ひと月の間の釣りでここまで釣れていない年は過去にはなさそうだ。それがこの日の本流の一匹目でようやく抜け出せたと思う。釣友のKK君の精力的な本流通いに触発されたと言うのも多分にあるが、去年の本流が良くなくてそのイメージを引きずっていた。河川工事も入って良いポイントも潰れたりした。しかし自然の再生力というのは僕らが考えるよりもたくましかった。そのバロメーターになるのが本流でのヤマメの反応なのは明らかだ。

一匹目のあとも少し大きめか同サイズのヤマメが釣れ、狙いの本流区間で三匹を手にできた。先週までを振り返ると一気に春が川の中に、そして僕の釣りにやってきたと言う感じだ。
満開の桜と釣りがドンピシャのタイミングって、滅多にない。
本流育ちのパワー、この体躯、痺れます(>▽<;)
この場所で昼飯は何度もやったがここまで桜が満開なのは初めてだ。おそらく今年は雪と寒さで桜も川の状況もヤマメのドライフライへの反応も、全部遅れたのだろう。それが好転するのがこの日に集中したんじゃないだろうか。

追い食いヤマメのあと、移動して数ヶ所やったが、それ以上のやつは出てこなかった。
厳しかった状況が好転した途端、もっと良いサイズをと、僕もあのヤマメのように欲を追い食いし始めたみたいだ。



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中くらいの流れの速さの瀬で釣れたので、もう瀬の中にヤマメが入っているのは間違いなさそうだ。まだ白波が立つようなガンガンの流れは無理だが、そこそこの流れはどんどん攻めていける。
ハッチはというと、あまり目立っての飛翔はなかった。忘れた頃にスッと目の前を横切る程度。だからライズも見かけない。
それでもドライフライにちゃんと出てちゃんとくわえてちゃんとフッキングする。それだけでも先週までとは随分違ってきているなと感じた。
食べたら寝る。満開の桜も見ずに(^^;)
生気に満ちた流れ。魚の息(エラ)づかいが伝わってくるような。
前々回の釣りでKK君と合流してやって以来、今回こそ釣れそうな気配も含めて、やっと本流の本格釣行と言える。
降りてすぐに釣った一匹が今年の本流の一匹目だった。サイズは物足りないが引きは強く、大きい流れに揉まれて育った魚体は素晴らしい。
さらに上流に向かう。厚みのあるゆったりした流れ、沈み石も見えて絶好のポイント。数投して反応はないが、さらにしつこく投げるとパシャっと出た。
合わすと先ほどより重い。
このCDCパターン一本のみで通しました。
#11のCDCパターンをしっかりくわえてくれました。
日清焼きそば、中華鍋で(^^;)  
さらに先に良い感じの水深と流速の瀬が見えた。ここは居るだろ。
一度手前にフライを落とすと上流側から魚影がすっ飛んできてフライをひったくった。(!!)
合わすと掛かった。強い引き、ギラリと見えた魚体は砲弾型だ。
瀬を走り岸際の石の間に逃げ込みまた瀬に出てきて、なんとかネットに収まった。体高のある本流ならではのヤマメだ。

公園に着くとドンピシャリ、桜が満開だった。僕は満開の桜の木の下のテーブルで昼飯を作った。