2025 釣乃記
第弍話  春の川はまだ遠く
「先週は濁流だったよ」
駐車場の掃除をしていたログハウス管理人さんの話だと、この数日でようやく川の水が引き始めたらしい。
釣り人の姿もまばらで、今年は良くなるのが遅いんじゃないかねとその人は言った。
雪代の増水は大雨時とは違って引くのが早いらしい。水位はやや多めで、盛期だったらちょうどいいと思えるくらいだが、解禁二週目の今だとまだきびしそうだ。
(やはりドライよりニンフか)と僕は結ぶフライで迷っていた。
先週、KK君と数ヶ所巡って釣れなかったのは堪えたが、体力的にバテなかったのは収穫だった。そしてこの週末も行ってみようという意欲も消えていない。
釣りエリアの朝の気温は−4度、日中は10度。決して期待できる気温ではないが、支流の穏やかな流れを狙えばひょっとするかも知れないと、良い方に考えるのは世界共通の釣り人の心理だ。
ただ、例によって忘備録の本HPを見返すと、大体今頃はうちの横にある桃の花が咲いている。それが今年はまだで、梅の花がようやくいくつか開き始めたくらいだ。それだけ季節の進行が遅れている。花に限らずそういう話はちらほら聞こえてくる。
例年、解禁から二、三週の間はパッとしない釣果が続く。それにこの冬の寒波や積雪が拍車をかけている。
それを、ひょっとしたらとか行ってみないとわからないとか、行く方に寄せて考えるのはやっぱり気持ちが負けていないという事だろう。そう思いたい。
市内でも朝はまだ冷え込み、梅の花はようやく・・・。
ほぼロッドグリップサイズか(>▽<;)
(さっき釣ったヤマメよりは大きいが、20cmくらいか?)
だとしてもせめてこいつは釣りたい。僕は慎重にフライをキャストした。
同じ場所に落とす。流れくだるフライを魚影が追ってきた。口を開けてついてくる。
しかしドラグが掛かっている。魚が追うのをやめるか。そうなる前に僕は一か八か合わせた。ラインが宙を舞った。そりゃそうだ。

雪をかぶる山から春を遠ざけるように、冷たい風が吹いてきた。



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この日目当ての支流の最初のポイント、やや流れが強く、ウェーダーを通して水の冷たさが伝わる。
CDCのドライフライをキャスト。流し切る直前にぼそっと出た。合わなかったし小さそうだったが、ドライで出るじゃないか。
少し上流に進んでキャスト。スッと魚影が横切り合わすが掛からず。でもまたドライに出た。
この感じ、シーズン初期のまだ水面の捕食に慣れていない時のヤマメの出方だ。半沈みのフライだがそれでもしっかり咥えきれていないのだろう。
CX-3くん、満足の1匹も帰路も遠い道のりのようですよ(^^;)
彼方の山にはまだたっぷり雪がある。
途中堰堤下の深みにニンフを投げてみたが、マーカーが消し込まれることはなかった。
その区間を上がり、昼飯を食べるのに寄った場所でここ数日の川の情報を聞いた。
昼を回り気温は上がってきたが冷たい風が吹いたり止んだりしていた。少し下流に移動して入ってみた。緩い流れの良い感じのポイント。中間くらいに投げると出たがまた掛からない。
その少し先、今度は掛かった。これが今年最初のヤマメの手応え。なんとも頼りない。
何やらキノコ発見。
もぐもぐタイムはチキンラーメン。袋と同じ仕様で作りました(^^;)
フライの交換が忙しいのもこの時期。  
最後にもう一ヶ所だけやっておこうと移動した。
入渓してすぐに出たがまた掛からない。反応するにはするがドライフライにはまだちょっと早いんだろう。
もう少し進むとちょっと広いフラットな溜まりが見えた。一番奥側に投げるとスッと魚体が出た。
合わすが掛からない。しかし口に当たっていない。あと一回はイケる。僕は時間を置くためティペットとフライをやりかえた。CDCからエルクヘアウィングのシルエットの違うものにした。