2026 釣乃記
第拾肆話  ティペットと一里一尾
帰って部屋の荷物を探ると、タナゴのバッグからティペットが出てきた。そうか、こっちに入れていたのか。
この日の釣りをSNSに投稿すると、釣り仲間からコメントで、 夏の釣りは一里一尾だよと書き込まれた。
確かにそうだ。雨でしっかり増水したのならまだしも、そうでない時に良く釣れたと思う。
この日歩いた距離をスマホで見ると、4.01kmと表示された。
なるほど、ほぼ一里、そして一尾だった。
前回の渓流が後輩君と実山椒を採ってお好み焼きを食べてゴギを釣った時なので、ひと月以上あいた。なにしろ雨が降らない。それに加えて猛暑で出足が鈍っているということもある。渓流に行くからには出向く労力に見合った見返りを求めてしまうのでどうしても条件が良くなるのを待つことになる。
渓流に行かない間にもチヌやタナゴには行っているが、一応僕のフライフィッシングの主軸はヤマメやゴギをフライで釣ることなので、本命になかなか行けないことがもどかしい。
そんなこんなで、それでもちょっと山間部に降雨があった翌日、僕は渓流に向かった。水位がそんなには上がっていなくても、少しは流れがリフレッシュされていると期待した。早朝に行くから朝の気持ちいい気温も期待したが、こちらは途中は19度まで下がったが、川に着くと22度で湿度も高く微妙に涼しくなかった。もちろん町の同じ時間と比べたら涼しいのは間違いない。
ベニシジミとルリシジミ。ルリはブルーダンみたいな色(*^^*)
ライズしたっ! 何を食ったのかわからないが、この時期に見かけることが結構ある。
ティペットとリーダーの結び目の引っ張りチェックをすると、ぷつっと切れた。やばいやばい。
結び替えようとベストのポケットに手を伸ばし、気づいた。
(ティペットを忘れた!)

丁寧にライズポイントに投げるが出なかった。先へ進もう。
陰で深みのある場所、これは居るでしょ。これまた丁寧にキャストするが、出ない。
釣りのみの距離ではないが、それも込みで一里一尾(>▽<;)
ボウズは回避しました。感謝の気持ちを忘れずに(^^;)
小さな堰堤下の場所。期待は高いが、どうか?
堰堤から落ちた二つの筋の流れが合わさる辺りに投げると、スッと出た。合わすが掛からず。
宙に舞ったフライが落ちた、そこで出た。合わすと掛かったがすぐ外れた。あー、もう!
堰堤下の落ち込み直下でも出たが掛からない。フライを今結んでいるビートルからアントに変えた。シビアだが魚はいることはいる。僕はふぅと息をつき、空を見上げた。薄雲が湿気を閉じ込めているような天気だ。
フライロッドと何かのクイル(^^;)
冷んやり涼し・・・くなくて、やや蒸し暑い(^^;)
もぐもぐタイムはサッポロ塩にらっきょうを添えて。 
良く見ると足跡は結構ある。来る人は来てるんだ。
厚みのある流れにフライを乗せる。ギリギリ沈まず見えている。
っと、ボソッと出た。合わすと手応えが! 掛かった!
バレるなよと祈りながら寄せて、ネットですくい損ない、もう一度寄せてすくう。
良い引きだった。思ったより小さいがそれでもいい。僕はふぅ〜っと大きく息をついた。

高原のキャンプ場で昼飯。時折、気持ちのいい極上の風が吹いた。
ティペットだが、手持ちの7Xのリーダーのバット部を切り、先端側を元からつけているリーダーに結んだ。7Xリーダーはひとつしかなかったのでこれをダメにすると次は5Xのリーダーを使うしかない。
それで必然的にキャストや取り回しの扱いが丁寧になった。
それが功を奏したか、出るには出るんだが、フッキングしない。ビートル、アントに続き、CDCスペントまで結んでみた。
フライを替えるたびに当然徐々にティペットが短くなっていく。
ひどい渇水ではないが、ひと雨降れば息を吹き返すのに。