其ノ四百七十三  フラットの経緯
地元フラットでキビレを釣ってから二十日あまり。その感動はまだ手にあるが、徐々に薄れていくのも仕方ないことだ。
実はあれからあと一度、フラットへ行っていた。結果は釣れなかったのだが、アタックはあったからチャンスは0ではなかった。
水温が下がってくるとチヌやキビレの活動は沈静化してくるらしいので、もうチャンスがあるかどうか、あってもあと一回くらいか。
だらけて過ごすよりは格段に健康的なフラット歩き。 いや、歩くだけじゃ・・(^^;)
会社の有休算定の期間が残りわずかのため、目標未達の人は達成までの取得予定を立てなければならなくなった。僕も該当者だが、当然潮位のアプリで潮のいい日と業務の予定を見比べつつ、ベストの日に有休の予定を入れた。
その日は金曜日だったが、大潮で干潮14時、これ以上ない条件。この日とは別に土日休みがある訳だから、この日は午前中はタイイングに充て、午後から釣り(家から釣り場まで混まなければ20分)。なんだかすごく贅沢な時間の使い方という気がする。
そして当日、ほぼ計画通りに進み、僕は干潟の広がったフラットに立った。平日なので他には誰もいない。
まだ海に向かって流れがあって、前回釣ったタイミングまでには間がある。
とは言え、水際に立ったらただぼーっと見ててもだんだん我慢できなくなり、僕はキャストを開始した。
アタリはない。あまり投げ続けると場が荒れそうなので、一回キャストしたら移動、を繰り返した。なにしろ干潟は広い。
時折川の中央付近でドボンっと魚が跳ねる。ボラかもしれない。
釣れた〜っ! あっ! ちっちゃい。でもうれしい(^^;)
干潮を過ぎ、少しづつ潮が上がってきた。こうなると早い。みるみる干潟は水に没していく。
もう場荒れを気にしていられない。僕はキャストを繰り返した。アタリはない。
あー、もう時期的に遅いのか。諦めの気持ちが出始めた時、ググンっと手応えがあった。きたっ!
前回のキビレより明らかに軽い。ああ、初のチヌだけどちっちゃいや。でもよかった。ありがとうです。
日没、せき立てるように満ち上がってきた。

二日後、僕はまたフラットに立った。
有休の日の釣りで実はいい型のアタリがあった。しかしあろうことか秒殺でティペットを切られてしまった。反射的に止めようとしたのがまずかったか。その口惜しさを晴らしたくてもう一度アタックしにきた。
干潮16時。その30分まえに釣り開始。下げの潮流がまだ残っていた。
下流側にフライマンがひとり見えていた。
もはや猛暑の気配はなくなった。
下げ潮だからダウンクロスで流す。数投後、着水と同時に飛沫が上がった。来たかっ?と合わすが空振り。
さらに数投、コツコツっと感触。少し待つとぐぐっんっとロッドがしなった。

下流側のフライマンが近づいてきた。よく見ると釣り具屋でよく合うKさんだった。僕がフラットに立つきっかけになった人だ。
こんな経緯を経て手にする一匹。感謝です。
サイズアップのチヌ様。釣れてくれてありがとうございます(*^^*)